
株式投資の本質
はじめに:「株価」ばかり見ていませんか?
株式投資をしていると、どうしても毎日の「株価」に一喜一憂してしまいがちです。
「上がった!儲かった!」「下がった……損した」 しかし、著名投資家ウォーレン・バフェットをはじめとする賢明な投資家たちは、株価チャートをほとんど見ません。彼らが見ているのは、株価ではなく「企業の価値」だからです。
今回ご紹介する『ほんとうの株のしくみ』(山口 揚平 著)は、株価の変動(ノイズ)に惑わされず、企業の「本質的な価値」を見極めるための、シンプルかつ強力なメソッドが書かれた一冊です。
「株価」と「価値」の決定的な違い
まず、この大原則を押さえておきましょう。
- 企業価値(Value): その企業が持っている財産や、将来稼ぎ出す利益の総和。
- 株価(Price): 企業価値に、市場の「期待」や「悲観」という人間の感情が上乗せ(または割引)されたもの。
株価は、人々の感情によって大きく振れますが、企業の価値はそう簡単には変わりません。
バリュー投資とは、市場が悲観的になり、「株価が企業価値よりも安くなっている時」に買う手法です。バフェットが言う「株ではなく、ビジネス(企業)を買う」とは、まさにこのことを指します。
企業価値=財産+事業価値
では、肝心の「企業価値」はどうやって計算すればいいのでしょうか?
本書の素晴らしい点は、M&A(企業の合併・買収)の世界で使われている複雑な計算を、驚くほどシンプルに公式化していることです。
【企業価値 = 財産価値 + 事業価値】
- 財産価値: 今ある現金や資産から、借金を引いたもの。
- 事業価値: 将来稼ぐであろう利益(キャッシュフロー)の現在価値。
この公式を使えば、「この会社の株価は割高なのか、割安なのか」を、雰囲気ではなく数字で判断できるようになります。これはまさに、企業をまるごと買収するM&Aの思考法そのものです。
⚠️ プロの視点:現実は「公式」ほど単純ではない
本書は入門書として最高の一冊ですが、実務家としての視点で一つだけ補足させてください。
「現実は、この公式ほど単純には割り切れない」ということです。
- 会計の壁: 「財産」の評価は、会計基準によって変わることがあります。
- 業種の違い: 巨大な工場が必要なメーカーと、IT企業では、利益の構造や資本効率が全く違います。
- 将来の不確実性: 最も重要な「将来の利益」を正確に予測することは、プロでも至難の業です。
公式に数字を当てはめれば正解が出るほど、投資の世界は甘くありません。
しかし、だからといってこの本が役に立たないわけではありません。重要なのは、計算結果の正確さではなく、「価値と価格を分けて考える思考プロセス」そのものです。
結論:投資の「羅針盤」として活用しよう
本書の計算式を「絶対的な正解」として使うのではなく、「投資判断の補助線」として使うのが賢い活用法です。
「みんなが買っているから」という理由で高値掴みをする前に、この公式でざっくりと計算してみる。それだけで、大火傷をするリスクは劇的に減るはずです。
チャートの動きに疲れてしまった方は、一度この本を読んで「企業価値」という揺るがない基準を持ってみてはいかがでしょうか。
💡 「価値」に基づいた資産運用、できていますか?
「理論はわかったけれど、実際に企業の価値を計算するのは難しそう……」
「自分の保有している資産は、本当に価値があるものなのだろうか?」
企業価値の計算と同様に、個人の家計や資産形成においても「見かけの金額」と「本当の価値」を見極めることは重要です。
本メディア「おかねのいろは」を運営する株式会社あせっとびるだーずは、あなたの資産(Asset)を堅実に構築する(Builders)ためのプロフェッショナルです。
市場の雰囲気に流されず、本質的な価値に基づいた資産運用を行いたい方は、ぜひ一度ご相談ください。