株式投資のコツ?

〜『永続的に成長する優良企業を探す クオリティ・グロース投資入門 山
 本潤(著)』が教える、インカムゲインをベースにした資産形成術〜

1. 25年で年率17%達成! 成功者が実践する投資の「当たり前」

株式投資の成功法則はシンプルです。「永続的に成長する会社」に長期投資できれば、資産は増えます。

しかし、この「当たり前」の実行こそが、最も難しい課題です。

本書『クオリティ・グロース投資入門』は、その困難な課題――永続的に成長する優良企業(クオリティ・グロース銘柄)の見つけ方に焦点を当てた、実践的な指南書です。

著者はファンドマネージャーとして、過去25年間で年率平均およそ17%という驚異的な運用成績を達成しているそうです。

これは、同じ期間のTOPIXのパフォーマンス(4%台)を遥かに凌駕し、最初に投資した資金を25年で25倍以上にしたことになります。

本書は、この桁外れな高パフォーマンスを支えた神髄ともいえる投資法、「クオリティ・グロース投資」の哲学と具体的な企業選定方法を解説しています。

2. キャピタルゲインではなく「インカムゲイン」をベースに考える

多くの投資家が株価上昇による利益(キャピタルゲイン)に注目する中、本書の解説は、まず配当金(インカムゲイン)から始まります。

著者は、「株式の長期投資では、累計のインカムゲインが資産形成のベースになる」と強調しています。

これは、投資の名著『株式投資の未来』(ジェレミー・シーゲル著)が示唆するように、「株式のパフォーマンスのほとんどが配当金の再投資によるものである」という話と完全に一致する見解です。

  • 安定性の確保: 配当金は、企業の業績が低迷したり、景気が悪化しても支払われることが多く、インデックス全体で見れば無配になったことはありません。
  • 複利効果の土台: 株価に左右されずコツコツとインカムゲインを再投資し、余裕資金を追加していくことこそが、資産形成の王道なのです。

3. 「成長企業」を見抜くための勝利の方程式(数式)

本書の主な内容は、「成長企業とはどういう会社か?」を深く理解し、投資に値する企業かどうかを判別するための「勝利の方程式(数式)」を提示することにあります。

この投資法は、詳細なデータ分析やシミュレーションによるものではなく、著者自身の長年のファンドマネージャーとしての経験と哲学に基づいています。

「なんとなく将来性がありそう」という感覚的な判断の裏側に、企業の利益と成長の関係を徹底的に理解し、資本効率の良い(クオリティの高い)成長を続けているかを判断する確かな基準があるわけです。

永続的に成長するクオリティ・グロース銘柄に投資ができれば、株式投資の失敗リスクは極めて低くなります。この企業の本質を見抜く力が、年率17%という高パフォーマンスを生み出す源泉となります。

4. 投資を続けるモチベーションは「哲学」と「実行力」

著者の高い運用実績は説得力がありますが、読者としては「具体的な銘柄選別だけでなく、分散投資やポートフォリオ管理といった実践的な運用方法も知りたい」と感じるかもしれません。

しかし、本書の真価は、「良い企業を選定する」という投資の哲学を深く掘り下げる点にあります。

この哲学を理解し、インカムゲインを中心とした長期投資の重要性を腹落ちさせることこそが、一時的な株価変動に惑わされず、投資を永続的に続けるためのモチベーションにつながります。

「株式投資は、正しい企業を選び、長期で保有を続けるという実行力」が全てです。本書は、その実行を支える確固たる企業選定の基準を与えてくれています。