
読書の効果とは?
『シンプルで脳科学的に正しい読書法』 著者:茂木健一郎
はじめに:タイトルに騙されるな!脳科学者・茂木健一郎が書いた「異色の読書論」
今回ご紹介するのは、脳科学者である茂木健一郎さんの著書『シンプルで脳科学的に正しい読書法』です。
しかし、タイトルに惹かれて「脳の機能を最大限に活用するテクニック」や「読書が脳に与える具体的な科学的データ」を期待して読み始めた方は、少し肩透かしを食らうかもしれません。
私も正直な感想として、この本は「脳科学的に正しい読書法」というよりは、「茂木健一郎さんの哲学に基づく、人生を豊かにする読書論」と呼ぶべき内容だと感じました。
この記事では、タイトルと内容のギャップを正直にレビューしつつ、私たちがこの本から読み取るべき真の価値について解説します。
1. 脳科学的な根拠は薄い?期待と異なる本書の構成
🔍 科学的な視点を知りたければ「第1章」に注目
本書は、タイトルにあるような脳科学的なアプローチは、主に第1章に集約されています。
この章では、読書がもたらす効果として、研究結果から報告されている以下の点に触れています。
- 集中力の向上、ストレスの緩和
- 認知症の予防効果
- 家庭に本が多いと、読書量に関わらず子どもの学力が高い傾向
これらは興味深い結果ですが、専門家である茂木さんにしては、その根拠となる具体的な実験データやエビデンスの紹介が控えめです。「科学者として、もっと深く解説してほしかった」というのが率直な感想です。
📖 第2章以降は「茂木健一郎の主観的な読書論」
本書の核となるのは、第2章以降で語られる茂木さん自身の主観的な読書論です。
特に、茂木さんが愛してやまない『赤毛のアン』に何度も触れながら、読書が人生に与える本質的な価値について熱く語られています。
- 本を読むことによる「考える力」の獲得
- コミュニケーション能力の向上
- 読書を通じた「いろんな疑似体験」
これらの効果は、実体験として理解できるものですが、この本の中ではあくまで筆者の哲学や信念として語られており、具体的な科学的根拠の提示はありません。
結論として、本書は「読書法ハウツー本」ではなく、「偉大な先人たちの知恵を体感する 読書の意味論」 として読むべきでしょう。
2. 読書を「自己投資」に変える:知識を力に変える方法
タイトル負けしている印象は拭えませんが、キャリアや人生設計について考える上で、本書には大きな学びがあります。
茂木さんが主張する「考える力が身につく」という点は、まさに最大の自己投資です。
得た知識を単なる情報で終わらせず、人生や仕事に活かしていくためには、以下の「本質的な思考力」が不可欠です。
- 情報に惑わされない「判断力」
- 長期的な視点で考える「洞察力」
- 新しい分野に飛び込むための「知的好奇心」
読書を通じて、これらの「人生を切り開く力」の土台を養うことができる。これが、この本が読者に届けたいメッセージなのかもしれません。