
投資と投機は何が違うのか?
『リバモア流投機術 PanRolling Library』 ジェシー・ローリストン・ リバモア(著)
📉 インデックス積立の最適解に悩むあなたへ:リバモア流投機術の教訓
投機家として有名なジェシー・ローリストン・リバモア。投資家ではなく投機家、まるでギャンブラーのようにマーケットで生きてきた人、相場師、というのが彼のイメージかもしれません。
ウォール街のグレートベアとも呼ばれ、世界恐慌の引き金となった株価の大暴落時に、大量の売りポジションを持ち大金を稼いだ人としても有名です。その人生は何度も破産し、そしてその度に復活してきたというとんでもない人生を送ってきました。
インデックスファンドの長期積立が「投資の正解」とされる今、リバモアのような「投機」の哲学は、私たちに何を教えてくれるのでしょうか。
投機家は怪しい?
投機家というと、ギャンブルのような無茶な賭け事ばかりしている人だと思われているのかもしれません。
しかし、リバモアの投機はそうではありませんでした。ギャンブルのような運用だったのかもしれませんが、あくまでも定めたルールにしたがって行動する、規律ある投資戦略を行っていたと言われています。
相場を科学し、勝てるルールを見つけ、そのルールに従い投資をした。この視点は、株式市場で世界一稼いでいるヘッジファンドの創設者ジェームズ・シモンズの考え方と同じものです。
そうなると、そもそも「投資と投機で一体何が違うのだろう」という疑問が湧いてくるものです。
健全な投資をするために「投資は良くて投機はだめ」という話はよく聞きますが、リバモアやシモンズの例を見ると、そもそも『投資』と『投機』をどう分けているのかという話自体が不確かなものなのではないかと思ってしまうところです。
リバモアもトレンドフォローが基本だった
リバモアの投資戦略は、トレンドフォロー戦略が基本になっています。
このトレンドフォロー戦略は、ジェームズ・シモンズやラリー・ハイトなどの著名なヘッジファンドでも採用されている投資戦略だと考えられています。また、学術的にもモメンタムという市場のアノマリーがあり、このモメンタム効果が金融市場にあることは、過去のデータからも明らかになっていると言われています。
言ってみれば、トレンドフォロー戦略とは、このモメンタム効果を利用したものです。
マーケットに従え
リバモアの言葉には、トレンドフォローとしての重要な意味が感じられます。
- 「マーケットが動くのを待ち、観察する。判断を下すためのしっかりとした基準を持つことが肝要なのである。」
投資をしていると、自分の考えに固執して失敗することが多々あるものです。だからこそ、自分の意見や考えよりも、「マーケットを観察すること」がとても重要な意味を持つことがあります。
自分の意見や考えにとらわれず、マーケットにしたがって行動を決める。トレンドフォローという投資戦略は、マーケットにあるトレンドを探し、トレンドが発生したらポジションを作り、相場が反転するまで持ち続けるというのが基本のスタイルになります。
考えるよりも先に動け
本書の中には、以下の言葉もありました。
- 「変動の理由が明らかになるには時間がかかり、それから行動しても利益を上げることはほとんど不可能」
つまり、トレンドができたときは、その理由を考える必要はないということです。「考えるより先に動け!」です。
私たちは、思考の癖として、なにかしら理由付けがないと、行動に踏み切れなくなってしまうことがあるものですが、トレンドフォローをするなら、それではだめということです。
相場に変化があったということが分かった時点で、その変化の理由を探すよりも先に行動することが、トレンドフォローにとっては重要なのでしょう。
細かな値動きを追うな
リバモアは次のように言っています。
- 「小さな変動をとらえてマーケットで売買を繰り返すための方策を編み出そうとしていた。この考えは間違いであり、やがて私は現実をはっきりと認識するようになった。」
トレードをやろうとすると、小さな値動きに一喜一憂して、売買を行いがちになりますが、それは間違いだったという気づきです。小さな値動きを捉えようとする行為は、その値動きが小さくなればなるほど、ギャンブル色が強くなり、勝った負けたの結果が、スキルや能力より運の要素が色濃く出るようです。
投資家の中には、投機と聞いただけで敬遠する人も少なくありません。しかし、本書のような本を読むと、投機と呼ばれるものの中にも、実は投資と言えるものがあるのかもしれないという事を感じずにはいられません。
この本を投機の本と思って侮ることなかれ、結果的には読んでよかったと思える本の一冊だと思っています。