
チャーリー・マンガーの知に触れる
はじめに:「究極のバリュー投資」とは何か?
投資の神様ウォーレン・バフェットに「この本を読むことこそ、究極のバリュー投資である」と言わしめた一冊があります 。それが今回ご紹介する『チャールズ・T・マンガーの金言』です。
2023年に99歳でこの世を去った伝説の投資家、チャーリー・マンガー 。
バフェットの長年の相棒として知られる彼の言葉は、投資家のみならず、より良く生きたいと願うすべての人にとっての道しるべとなります。
今回は、私が実際に読んで感じた衝撃と、本書から得られる「一生モノの知恵」について解説します。
1. 単なる「お金の増やし方」の本ではない
「投資の神様が勧める本だから、株で儲ける必勝法が書いてあるに違いない」。そう思って手に取ると、良い意味で裏切られることになります 。
本書の真価は、具体的な投資テクニックの解説にあるのではありません。マンガーが持つ「圧倒的な知性」と「思考の型」に触れられる点にあります 。
マンガーは物理学、生物学、歴史、心理学など、あらゆる分野の知識を網羅し、それらを組み合わせて物事を考えます 。
一見、投資とは関係なさそうな知識が、実は巡り巡って投資の成功、ひいては人生の成功につながっている。読み進めるうちに、その奥深さに気づかされるはずです 。
2. 私たちが陥る罠:「金槌(かなづち)しか持っていない人」
本書の中で特に印象的で、私たちのお金の問題にも直結する概念があります。それが「金槌(かなづち)しか持っていない人間には、すべての問題が釘に見える」という戒めです 。
これは「専門バカになるな」という警告でもあります。マンガーは、特定の専門分野の知識だけで問題を解決しようとする姿勢を強く批判しています。
これは私たちの身近な金融相談の現場でもよくある話です 。
- 保険会社に相談すれば:「保険」で解決しようとする。
- 証券会社に相談すれば:「投資信託や株」で解決しようとする。
- 税理士に相談すれば:「税金(節税)」の問題として捉える。
それぞれの専門家は、自分の手にある「金槌(専門知識)」で問題を叩こうとします。
しかし、本当のお金の問題とは、投資、不動産、法律、税金、社会保障、そして人間の心理が複雑に絡み合った「総合問題」です 。
マンガーが提唱する「他分野横断的な能力」とは、この視野の狭さから脱却し、複数の視点を持って問題の本質を見抜く力のこと。これこそが、これからの時代に必要なリテラシーだと言えるでしょう。
3. マンガーが示す投資のアドバイス
では、具体的な投資手法についてはどうでしょうか。マンガーの結論は非常にシンプルで、以下の二つに一つだと言います 。
- インデックス式:市場平均に身を委ねる(多くの人にとっての正解)。
- バークシャー式:自信のある少数の対象に「集中」し、あとは「静観(パッシブ)」する 。
マンガーは、世の中で主流とされている「効率的市場仮説(市場は常に正しい株価をつけるという説)」には懐疑的でした。なぜなら、市場を動かしているのは人間であり、そこには必ず「心理」が働くからだと考えていました。
多くの人は、心理的な罠を避け、市場平均を取る「インデックス投資」が無難です。
しかし、もしあなたが市場の歪みを見抜き、リスクを恐れないのであれば、徹底的に調べて集中投資をする「バークシャー式」も道となりそうです。
まとめ:人生という投資を成功させるために
本書を読んで痛感するのは、バフェットとマンガーがまるで一人の人間のように同じ思考を共有していたということです 。
マンガーが亡くなり、バフェットも高齢となった今、一つの時代が終わろうとしています 。しかし、彼らが遺した「知識を統合し、自分の頭で考え、心理的な誤りを避ける」という知恵は色褪せません。
投資家としてだけでなく、一人の人間としてどう思考すべきか。それを問いかけてくれる本書は、まさに「人生のバリュー投資」と呼べる一冊です。
これからの不安定な相場や人生を乗り切るための「思考の武器」を手に入れたい方は、ぜひご一読ください。
お金という総合問題を解くための相談相手は?(㈱あせっとびるだーず)
今回の記事で触れた「金槌を持つ人」の話は、お金のいろはを運営している私たち『㈱あせっとびるだーず』が最も大切にしている視点でもあります。
保険だけ、投資だけ、節税だけ……といった偏った視点ではなく、家計全体を俯瞰して最適なプランを考えること。それが私たちの提供するファイナンシャル・アドバイスです。
確かに、税金や社会保険、法律といった特定の問題では、その道の専門家にはかないません。しかしファイナンシャルプランナーは、いろんな分野のお金の知識を総合的に学んでいることが、その強みになっていると考えています。
まさに、マンガーのいう『他分野横断的な能力』であると言えます。
「自分の家計を多角的に見てほしい」「偏ったアドバイスではなく、総合的な判断が欲しい」という方は、ぜひ一度、当社のマネー相談をご利用ください。