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『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資法』 泉田 良輔(著)

投資と資産形成の本

予想がいならない株式投資?

株式投資というと、経済の先を読んだり、景気の動向を予測したり、企業の将来を考えたり、そして世界の未来を見通したり、といったことが重要だと思っている人は多い。

しかし、本書でも説明しているように、株式投資に『予想』はいらないのかもしれません。

株式投資を難しいものだと思わせていることの一つとして、「未来を予想する」ことがあると思っています。

景気の先行きを予測したり、相場の変動を読んだり、経済の動向を考えたり、とても難しくて難解な問題を解いて投資をすることが必要だと思われているように感じます。

しかし、株式投資の現実の世界では、「未来を予測することで儲かっている」という人はあまりいない。むしろ頭でっかちに経済予測を立てて投資をしている人ほど、大きな間違いを犯して、大損しているなんてことも少なくありません。

中には、「こうなることを予想して、この銘柄に賭けたら、大当たり。」なんて話をしている人もいるかも知れませんが、そんなものは『たまたま』でしかすぎません。

予測が当たるなんてことは、運でしかなく。ましてやその予測によって投資で大儲けなんてのは、その人は強運をつかんだというだけの話です。

つまり、複雑な問題が解けるほど頭がいいわけでも、未来を見抜く能力があるというわけでもありません。

実際、著名投資家の中でも偉大な人として取り上げられることが多い、投資家のウォーレン・バフェットやハワード・マークスといった人たちは、未来予測は不要だと言っています。さらには、未来を予想することはそもそも不可能だとも言っています。

現実に投資の世界で大きな資産を築いてきた投資家たちだって、未来予想をして稼いできたわけではないということです。

『予想のいらない株式投資』というのは、あまり知られていない、投資の世界の常識ということです。

株式投資の本質とは?

本書の中での株式投資は、『株主資本複利投資』だといっています。

株式投資は、買ったり、売ったりして、売却益を狙うわけではなく。市場が盛り上がった結果、株価が上昇して儲かったというものでもなく。配当金があることが株式投資の目的でもない。

「株主資本複利投資とは、株主資本が、企業の利益によって、積み上げられていく。」というイメージの投資です。

なかなか面白い視点ですが、詳しい話は、本書を読んでみることをおすすめします。

あえて簡単に説明するのならば、ROE(株主資本利益率)に注目をします。ROEとは、株主資本を、株式投資家である私達が支払ったお金(実際に取引されている株価は、「株主資本=株価」にはなっていません。)だと仮定するならば、そのお金がどのくらいのスピードで増えていくかを%で表示したものとなります。

ROEが毎年安定して12%の会社があれば、その会社の株式に投資をすることは、投資したお金が年間12%づつ増えていくというイメージです。

このROEのように、毎年毎年、コツコツと株主資本を積み上げていく。これが、本書で言う株式投資の本来のイメージということです。

しかし、本書から株式投資のイメージは伝わってきましたが、読んだ印象としては、株主資本複利投資を説明するには、若干物足りなさを感じました。

ただイメージとして解説するだけではなく、現実のデータを使って、そのイメージの結果を示してほしいと感じました。

例えば、本書で説明するところの条件にあった銘柄を300社選んで調査し、10年後にどういう傾向が見られたかといった具体的な説明が欲しかったと感じました。

理屈や理論で説明するのは、誰にでもできます。ただ、実務では、その理屈や理論が、現実の世界で通用するのかどうかを知りたいはずです。

本書の中では、突飛な例を持ち出して、本書の株式投資のイメージを説明していますが、偶然の世界の話ではなく、統計的にデータで見せてほしいというのが、本書を読み終わった気持ちでした。

ただ、個人的な株式投資の経験からの感じでは、この『株主資本複利投資』という投資スタンスは決して間違っているというわけではないと思っています。

それだけに、もっと統計やデータを証拠として提示して、たまたまではない必然の話だという説明が欲しかったかなと、残念に感じた次第です。

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