
株式って何なのか?もっとよく考えてみよう
『京都大学人気講義の教授が教える 個別株の教科書』川北 英隆 (著)
1. 「投資信託はOK、個別株は怖い」その矛盾に気づいていますか?
「S&P500」や「オルカン(オールカントリー)」といった投資信託を通じて株式資産に投資することには抵抗がないのに、いざ『個別株』となると途端に不安を感じる—―。
しかし、投資信託も個別株も、その根底にあるのは「株式」という資産です。
おなじ資産を買っているのに、なぜか投資信託だと不安が軽減され、個別株を買うとなるとギャンブルのように感じるのだろうか?
これって、はっきり言って矛盾していますよね。
たとえば私たちは、水洗トイレの仕組みを詳細に説明できなくてもレバーを操作できます。これは専門家や製造者の知識を「間に挟んで」利用しているためです。
投資信託も同じで、専門家(ファンドマネージャー)の力を間に挟むことで、「株式の本質」を知らないまま投資への不安を解消しているにすぎません。
でも本当にそれでいいのでしょうか?
株式資産に投資するなら、投資信託であれ個別株であれ、その土台である「株式」を深く理解することが必要なのではないでしょうか?
2. 京大教授が語る:「株式投資は、本質的に怖いものではない」
本書の最大のメッセージは、「株式とは何なのか?」「株式に投資するとはどういうことなのか?」という本質を問い直すことにあります。
教授自身は、詳細なデータ分析や複雑な理論に頼るのではなく、「なんとなく将来性がありそう」というような感覚で投資を行っており、それこそ一般人の私たち誰もがやっているような感覚で投資を行っているようです。
そして、その成績は決して悪くありませんと言っています。
この事実は、株式投資が情報量の多さや高度なデータ解析技術がなければできない、という私たちの固定観念を打ち砕きます。
大切なのは、投資のノウハウや手法ではなく、株式というものをもっとよく知ること。
この本質を理解することで、「株式は、本質的に怖いものではない」ということに気づき、投資が「儲けようとする行為」から「楽しむための行為」へと変わります。
そして、この「楽しむ」という感覚こそが、株式投資を長く続け、結果的に利益を得るための最大のモチベーションとなるのです。
3. 個別株投資で得られる「企業とのつながり」という価値
本書が個別株を語る目的は、読者に「株式というものをよく知ってほしい」という点にあります。個別株投資は、企業という存在と直接的な「つながり」を持つことを意味します。
それは、投資信託では得られない特別な経験価値です。
- オーナーシップの自覚: 企業の一員として事業状況に関心が向き、景気や経済への意識が高まります。
- 投資の面白さ: お金儲けを超えた知的好奇心を満たし、投資に対する興味が尽きなくなります。
この「面白い」という気持ちは、たとえ暴落や損失に直面しても株式投資を続ける(長期投資を達成する)ための、最も強固な土台となります。
理論を超えた哲学や心理的な側面こそが、株式投資の成否を分ける要素なのかもしれません。
4. 株式投資を「一生楽しめる」ようになるために
この『個別株の教科書』は、株式投資を「お金儲けの手段」から「一生楽しめる知的な活動」へと変えるための視点を提供してくれます。
個別株に投資するかどうかに関わらず、すべての投資家が知っておくべき「株式の本質」を学ぶことで、あなたの金融リテラシーは確実に向上することでしょう。