
投資家が考える、理論と現実の違い
『投資の科学』 マイケル・J・モーブッシン
「われわれは、マーケットの仕組みを正しく理解しているわけではないが、標準的なファイナンス理論やリスクの測定方法が間違っていることだけは知っている。」(マイケル・J・モーブッシン)
この衝撃的な一文から始まる『投資の科学』は、あなたがこれまで学んできた投資や金融市場に関する常識を揺さぶる一冊です。
「おかねのいろは 運営」では、この本が提示する投資哲学、投資と心理学の関係、金融市場の複雑なシステムといった、投資を深く理解するために欠かせないテーマについて解説します。
賢明な投資家として、マーケットから得られる情報をどう捉え、そしてそれに対して感じる私たちの心とどう付き合っていけばいいのか。
その答えが、本書にはふんだんに詰まっています。
1. 賢明な投資家への必読書:投資哲学、心理、複雑系システムを科学する
「投資の科学」というタイトルが示す通り、本書は投資を単なるテクニックではなく、学問的な対象として捉え直します。
著者が長年の経験から導き出した示唆に富む内容は、投資を学ぶ人にとって必読です。特に以下の分野は、投資のパフォーマンスを決定づける重要な要素だと指摘されています。
- 投資哲学: どのような信念を持ち、市場と向き合うべきか。
- 投資と心理学: 感情(認知バイアス)が投資判断に与える影響。
- 金融市場のふるまい: 市場を動かす複雑なシステムと非効率性の存在。
これらのテーマは優劣をつけるものではなく、すべてを知ることで初めて、私たちはマーケットの全体像を捉えることができるようになります。
2. なぜ『効率的市場仮説』や『正規分布』は現実のマーケットで機能しないのか?
本書の最も重要なメッセージの一つが、「標準的なファイナンス理論は間違っている」という指摘です。
標準的な理論の中心には「効率的市場仮説」や「正規分布」といった概念がありますが、市場に実際にマネーを投じている者ほど、これらの理論が現実と大きく食い違っていることを感じています。
実際、ウォーレン・バフェットやチャーリー・マンガーといった著名な実践投資家たちも、「効率的市場仮説」と現実とのずれを指摘しています。
理論と現実の大きなギャップ
- 効率的市場仮説 vs. 複雑系: 理論は市場の効率性を説きますが、現実のマーケットにあるのは、非効率な状況を生み出す複雑系システムです。
- 正規分布 vs. ファットテール: 理論は価格変動が平均値に集中すると考えますが、現実は異常値(ファットテールやべき乗則)に左右され、パフォーマンスが大きく変動します。
長年の投資経験を持つ方なら、「ファットテール」や「複雑系システム」の話の方が、理論的な「効率的市場仮説」よりも遥かにしっくりくると感じられるはずです。
事実、本書は2007年の発売から10年以上の時を経てもなお、その価値が失われていません。それは、本書が理論ではなく現実の本質を捉えている証拠だと言えるでしょう。
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3. 金融のプロが「古い理論」を使い続ける不思議な理由:不確実性を消す心理学
今でも多くの金融機関やファイナンシャルプランナーの資格試験で、「効率的市場仮説」や「現代ポートフォリオ理論」といった理論が用いられています。
なぜ、現実と食い違っている理論が使われ続けるのでしょうか?
それは、「不確実性」という言葉が持つ不都合さに理由があります。
「平均値」が安心感を生む
市場の真実である「ファットテール」や「不確実性」を持ち出すと、「確実なことは何もない」「将来のことは何もわからない」という説明をせざるを得なくなります。これでは、顧客は混乱し、投資への意欲を削がれてしまいます。
一方、古い理論の「平均値」という仮想的な概念を使えば、未来の「不確実性」を忘れ、過去の「平均値」で明確なイメージを持つことができるようになります。
人はイメージが湧かないものは理解できません。
金融のプロは、顧客に安心感を与え、投資を促すために、意図せずして「不確実性」を排除した説明を選んでしまう傾向があるのです。
4. 結論:複雑な投資の世界で賢明な投資家として生き残るために
私たちは、この世界が不確実性に満ちているという現実に向き合っていかなくてはなりません。ましてや、投資や資産運用の世界では、その厳しさがより重要になってきます。
不確実性の中で投資し、運用していくために、「わからないことを前提にしたとき、私たちにできることは何もないのだろうか?」
この本を読んで感じるのは、決してそんなことはないという、力強いメッセージです。未来がどうなるかわからなくたって、私たちにできることは確実にあります。
その一つが、「学ぶこと」だと、本書は教えてくれます。
現代ポートフォリオ理論や効率的市場仮説のような、現実を簡易的に切り取った理論ではない、この世の真実を見つける学び。
それこそが、賢明な投資家として生き残る道なのだと気づかせてくれます。
【おかねのいろは 運営からのお知らせ】
本当に必要な知識を身に付け、行動できるようになるために。
私たち「おかねのいろは」運営元の株式会社あせっとびるだーずは、本書で学ぶような市場の真実を直で体験している実践投資家として、投資・資産運用、そして資産形成のアドバイスを行っています。
いきなり金融商品を買う必要はありません。 まずは、本質的な資産や金融商品の見方・考え方を学ぶことで、あなたに合った、効果的な資産形成ができるようになるはずです。
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