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『個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法』志村 暢彦(著)

投資と資産形成の本

お金を増やすポートフォリオの作り方

ポートフォリオは、『保守的な投資』と『積極的な投資』、そして『超積極的な投資』で運用する。

配分比率は、保守5:積極3:超積極2。いわゆるコアサテライト戦略です。

ただ、一般的なコアサテライト戦略では、『保守7:積極3』といった保守的なものなのに対して、本書での資産配分は、若干攻撃的な印象です。

しかも、一般的なコアサテライトでの保守部分の運用では、債券などをすすめる傾向にあるなかで、本書では、保守部分の運用から株式投資を勧めています。

かなり攻撃的な運用だといえます。

「保守部分が株式なら、積極部分ではいったい何に投資をする?」と疑問に思うところですが、そこはオプション取引を利用するとなっています。

さらに、超積極部分では、これはもう当たりくじ並みの、SPAC投資やベンチャーキャピタルといったところへの投資を勧めています。

ここまで行くと、もう一般的な個人投資家の取るべきリスクレベルを超えていると思わざるを得ません。正直、投資戦略として参考にするものというより、ただこの本の著者の知識披露の場になっているだけのような感想にもなってきます。

「この本の著者自身は、どんな運用をして、どのくらいの儲けを出しているのだろう?」というのが気になります。

ただ、保守的な運用と積極的な運用というように分けて、戦略的に運用する考え方自体は間違っていないと思います。そして、それぞれに配分する資金の割合をコントロールことは正しいアプローチだと思っています。

グローバルに投資をする?

日本にいると、ホームバイアスによってどうしても日本株に投資をしたくなる。

お金を増やすためには、それではいけない。「世界中に目を向けてグローバルに投資をしましょう」と、本書では薦めいています。

そしてこの手の話を持ち出す本では、ほぼ例外なく日本株をダメ出します。

当然、本書も例外ではありませんでした。

結果日本はこんなにもダメな国なので、日本株への投資割合を減らして、米国や欧州の超大手企業の個別株に投資しましょうといっている。

確かに、グローバルに投資をしようというのは、昔から言われていることです。

ただ、日本がダメだからグローバルに投資をしましょうというのではなく、グローバルに投資をする目的は、『世界中に分散して投資をする』ためで、日本がダメだからではなく、投資のリスクをコントロールするために行っているだけだと思うのです。

ここ数年は、証券会社も投資の雑誌もニュースも、日本株ではなく米国株を中心に関心が高い。

結局、日本の投資家が日本株に目を向けないために、日本企業の株価が高くなっていない。つまりは、日本株は世界の株価の中でも、割安な水準にいることになる。

その結果、ウォーレン・バフェットのような本格的なバリュー投資家が、割安な日本株市場に参入してきて、日本人よりも積極的に日本企業を買っているといったニュースも出ました。

なぜか日本人は、自分が住んでいるこの日本という国に対していいイメージを抱いていないことが多いようです。しかも、投資となるとよりその傾向が顕著になってくる。

結局、本書の「グローバル投資をしよう」という掛け声も、どういう戦略での投資なのかはよく見えてきません。「悲観的な日本を離れろ!」としか言っていないような気がしました。

結局、本書の中でさんざんいろんなことを言っていたけれど、結論から言えば「『インデックスファンド』でいいんじゃない?」という感想になってしまいます。

「個人投資家もマネできる」とタイトルにはありますが、一般的な個人投資家が本書のマネをするのはあまりお勧めできないかなと思いました。

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