個人投資家の最適解はインデックスファンド?

バンガード社の創設者 ジョン・ボーグル

「将来のために投資を始めたけれど、このやり方で本当に資産が増えるのか不安…」「アクティブファンドやテーマ株など、いろんな情報に振り回されてしまう…」

そんな悩みに対して、最高の答え用意してくれたのが、ジョン・ボーグルという人です。

この本は、そのジョン・ボーグル(2019年1月に亡くなりました。)が最後に書いた本になります。

ジョン・ボーグルは、資産運用会社のバンガード社を創設した人で、バンガード社は、低コストのインデックスファンドを運用していることが特徴の資産運用会社です。

この本を読むと、そのバンガード社の目的や目標を感じとることができます。

一般の投資家にとっては、インデックスファンドこそが最適解!

結論から言えば、「資産運用の最適解はインデックスファンドにある」というのが、ジョン・ボーグルの主張です。

確かに、「インデックスファンドが個人投資家にとって最善の答えとは限らない」という意見もありますが、それでもインデックスファンドが資産運用の選択肢として上位にあることは間違いありません。

インデックスファンドは、数々の著名な投資家たちや、投資のアドバイザー、経済の評論家といった多くの有識者たちが、その価値を認めています。

そのインデックスファンドを世に広めたジョン・ボーグルが、資産運用業界の中で、最も偉大な人物の一人であることは間違いないことだと思います。

インデックスファンドの優位性?

インデックスファンドを推奨している著名人の中には、投資の神様ともいわれているウォーレン・バフェットもいます。

実際にバフェットは、自分が亡くなった後の遺産をバンガード社のインデックスファンドで運用するようにと言っています。

さらにバフェットは、ヘッジファンドとインデックスファンドのパフォーマンスの優劣を決める賭けで、インデックスファンドの方に賭けたというエピソードもあります。

そしてその結果は、圧倒的なインデックスファンドの勝利だったことも有名な話です。

なぜインデックスファンドは優れているのか?

この本では、インデックスファンドの優位性がたくさん解説されています。

ます、ジョン・ボーグルは、市場全体に投資する『時価総額加重平均型』のファンドをインデックスファンドだと定義しています。

つまり、日経平均225やNYダウよりも、TOPIXやS&P500に連動するファンドの方が、ボーグルが考えるインデックスファンドに近いということになります。

ボーグルが、『時価総額加重平均型』を勧める理由は、銘柄入れ替えやリバランスなどで、度々売買する必要がないという点があります。

売買の回数を極力減らすことで、運用にかかるコストを最小限にする。それが、時価総額加重平均型のインデックスファンドの最大のメリットとなっています。

運用にかかるコストを徹底的に減らしながら、効果的な分散投資を行う。

これが資産運用の最適解であり、時価総額加重平均型のインデックスファンドの目指すところだという事です。

複数のアセットに分散して投資する必要はない?

現代ポートフォリオ理論は不要?

株式や債券、REIT(不動産)、金(ゴールド)、その他いろんな資産に分散して投資をしているバランスファンドと呼ばれる投資信託もあります。

このように複数のアセットに投資する運用手法は、現代ポートフォリオ理論といわれるノーベル賞を受賞した金融理論によってその効果を説明されています。

価格変動のリスクと、資産が生み出すリターンの性質は、別々に考えることができ、それぞれの値動きの違いから、組み合わせ方によっては、それなりのリターンを維持しながら、低いリスクで運用することができるようになると考えられています。

最近では、この現代ポートフォリオ理論を使ったファンドラップやロボアドバイザーといったサービスが増えています。これらのサービスでは、現代ポートフォリオ理論を基に、資産配分を統計的、数学的に分析しポートフォリオを作り運用を行っています。

しかしジョン・ボーグルは、この本で、「そんな複雑な金融商品は必要ない」と言っています。

かえって商品内容が複雑になる事で、運用にかかるコストが高くなるだけであり、インデックスファンドのメリットを失ってしまうと言っています。

ジョン・ボーグルが推奨するポートフォリオ?

本書では、株式と債券だけのポートフォリオを推奨しています。

株式と債券のインデックスファンドに一定の割合で投資するポートフォリオを作れば、それで十分だとボーグルは説明しています。

ボーグルが教えるポートフォリオでは、まず株式資産への投資が重要と説明しています。言い換えれば、株式資産への配分割合をどのくらい大きくとるか、これがポートフォリオを考える際の一番のポイントだと言っています。

とてもシンプルな考え方です。しかし、実務的な運用方法を考えるなら、考えるべきことはできるだけシンプルにした方が良いことも事実です。

現代ポートフォリオ理論で言うような方法は、債券と株式の値動きの違いを考慮します。しかし、この方法は、過去の値動きを統計で調べなければならないなど、一個人が実践するのはとても大変です。

その反面、ボーグルの考え方は、株式は「攻撃的な資産」としてリターンを重視し、債券は「守備的な資産」として値動きの安定と安全性を重視する、という位置づけで考えており、値動きではなく資産としての性質で考えています。

「リターン」を求めるのか、それとも「安定」を求めるのか。

それが決まれば、株と債券の資産配分をほぼ決まってくる。非常にわかりやすく実行しやすい考え方です。

実際に、株式の割合を正しく設定できれば、ある程度価格変動のリスクはコンロトールができるものです。

ボーグルは、金融機関や投資のアドバイザーたちが、現代ポートフォリオ理論で作る複雑なポートフォリオを薦めるのは、手数料を高く取るための口実なのではないかと指摘していました。

結局なんだかんだ言っても、資産運用はインデックスファンドが最適解。

経済学者として有名なケインズが行っていた投資方法は、パッシブ運用だったという話です。(ケインズの時代はインデックスファンドがなかったので、インデックスファンド風の運用を行っていたらしいです。)

またバフェットは、先にも書いた通り遺産の運用をインデックスファンドで行う事を支持しています。

その他金融機関のCEOなどの金融業界の大物たちも、自分の資産はアクティブ運用ではなく、インデックスファンドで運用しているという話も聞きました。

なんだかんだ言っても資産運用の最適解は、インデックスファンドなのかもしれません。

インデックスファンドのすごいところは、たとえどんな状況であってもつねに平均値。バブル中でも、バブルが崩壊しても、確実に平均値が取れる。

金融市場は、平均以上を目指そうとすると、逆に平均以下になる可能性が高くなる場所です。そのことを、この本を読んだことで、改めて思いました。

結局のところ、本書にあるジョン・ボーグルの考えに対しては、否定できるところはほとんどありませんでした。

個人投資家は、本書に書いてあることを、そのまま受け取って実行するだけで、他の知識はなにもいらないのかもしれません。