iDeCoとNISAの違いって何?
iDeCoとNISA、どちらも節税効果が高い資産運用のための制度です。
iDeCoは、支払った掛金の全額を、所得控除として利用できるため、非常に節税効果が高くなっています。
たとえば、年間60万円のiDeCoの掛金を支払った場合には、その60万円全額が所得控除として利用できるので、60万円×(所得税率+住民税率)分の税金が減額されるようになります。
仮に、所得税と住民税の税率が合計30%だとすると、その節税効果は、18万円(60万円×30%)にもなります。
対して、NISAは、iDeCoのような所得控除はありませんが、運用中の売却益や配当金などにかかる税金が非課税扱いになります。
もし、投資信託や株式投資で100万円の利益が出た場合には、通常だと約20%の税金がかかることとなり、約20万円を納税しなければいけないのですが、NISA口座内での利益であれば、その20万円の税金を納めないで済むことになります。
また、このように運用中の利益に税金というコストが発生しないことは、運用益を無駄なく再投資に使えるようになるために、運用の複利効果を高めることにつながります。
資産運用では、複利で運用することは大切なポイントになっているので、この節税メリットは、無視できません。
ただし、この運用益の非課税はNISAだけのものではなく、iDeCoでも同様なので、トータルでの節税効果は、iDeCoの方が上になります。
iDeCoとNISAは、どっちがお得?
節税効果としては、間違いなくNISAよりもiDeCoの方が有利だと言えます。一定額以上の所得がある人は、iDeCoを利用することを検討してみるのがいいと考えています。
しかし、どちらが得なのかというと、なかなか回答が難しくなってきます。
その理由は、iDeCoで投資できる金融商品と、NISAで投資できる金融商品に違いがあるからです。
iDeCoで投資できる金融商品は、その主なものが投資信託となっており、NISAよりもはるかに選択肢が少ないことがほとんどです。
そのため、運用方法の範囲が狭くなってしまい、運用成績としての効果がNISAよりも劣ることもあり得るからです。
また、投資信託には運用コストがあり、節税のメリットを打ち消すほどではないものの、金融商品のコストとしてもNISAで投資できる商品の方が有利なこともあったりします。
さらにiDeCoには、毎月かかる手数料として、国民年金基金連合会や事務委託先金融機関などへの支払い(運用期間中および給付時)が発生することも、覚えておいた方がいいかもしれません。
とはいえ、節税効果としては、明らかにNISAよりもiDeCoの方が上なので、節税という観点で考えるなら、iDeCoの方がお得になります。
iDeCoとNISAの選び方
iDeCoとNISA、どちらを選んだ方が良いのかは、それぞれのデメリットを比較して考えるのが良いと思っています。
たとえば、iDeCoには、大きなデメリットとして、『原則60歳まで引出しができない』という事があります。
なので、緊急時の予備資金としての貯金がないような人には、iDeCoを利用するのは向いていないと思われます。
60歳まで引出しができないという注意点から考えても、iDeCoへの拠出は、老後の生活資金という目的にしかなりません。つまりは、公的年金にプラスするというのがiDeCoの役割という事なのでしょう。
対してNISAには、引出しの制限がなく、売買も機動的に行えます。その点では、とても使いやすい制度だと言えます。ただ、売却損が発生した場合の取り扱いにデメリットがあります。
特定口座や一般口座で発生した損失は、配当金や他の売却益などと相殺ができる損益通算という仕組みがあります。
たとえば、年間100万円の配当金を受け取った場合、それに対する税金として、約20%の約20万円を納税する必要がありますが、もしそれ以外に100万円の損失が発生していた場合には、損益通算されて納税額は0円になります。
ところが、NISA口座では、損益通算ができないため、NISA口座で損失が出ても、税務上その損失はなかったものとしてみなされることになります。
複数の口座で投資をしていたり、NISA口座と特定口座の両方で取引をしていたりすると、場合によっては不利益となる事があるのが、NISAのデメリットになります。
しかし、NISA口座のみで投資をしている場合には、そもそも利益にも課税されないわけなので、損益通算がないことは、デメリットにはなりません。
運用資産残高が多くてNISA口座の非課税限度額に収まらない人や、複数の口座を使って複雑な取引を行っている人などには、NISA口座は向いていない可能性があります。
参考:投資信託協会ホームページ『NISAとiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の違い』