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『マネーという名の犬ーー12歳からの「お金」入門』 ボード・シェーファー(著)

お金や家計に関する本

成功日記を書いてみよう!

この物語は、マネーという名の犬と女の子の出会いから始まる物語です。そして、マネーは人の言葉を理解し、その女の子に『お金に関する知恵』を与えていきます。

しかし、知識と言っても、マネーがお金のことで、主人公の女の子キーラに対して、細かく指示しているものではなく、マネーはあくまでお金の本質的な入り口の話をするだけで、実際には、キーラ自身が自らの力で、お金に関する悩みや問題を解決していきます。

お金と向き合い、様々な人達との出会いを通し、少しずつ様々な課題を解決していく物語です。

最初は普通の女の子だったのに、最終的にキーラは、とても普通の女の子とは言えないような子になっていきます。

キーラの最初の姿を知らなかったら、最後の方のキーラは、才能と運に恵まれた、たぐいまれな女の子だと思ってしまいます。なんといっても物語の最後には、お金持ちの知人との共同出資で、子供がお金を学べる場を作るための会社を設立してしまうという、とても子供とは思えない子になっていきます。

そのキーラがマネーから教わった原理原則の中に、『成功日記』というものがありました。成功日記を書くことで、自分に自信が持てるようになるという話です。

お金のさまざまな問題を解決するためには、『自信』というものが必要だということがこのことから学べます。お金持ちになることや、お金のことで悩まないようになるためには、『自身を持つこと』がとても大切なのだそうです。

他にも、お金に関する様々な知恵がこの物語の中で登場してきますが、この物語の最も根本的な原理原則は何かといえば、おそらくこの『成功日記』になる気がします。

子供向けの本なのに?

『お金との付き合い方』を真剣に考えたことがある人というのは、それほど多くないのではないでしょうか?

お金というのが、私たちが生きていくうえで、この上なく重要なものであることを疑う人はほとんどいないことと思います。仮にそのことを否定したところで、今のこの社会においては、お金の呪縛から逃れることはできません。

この本を読むと、お金との付き合い方を考えることを否応なくさせられます。

この本で学ぶお金との付き合い方というのは、とても子供向けとは思えませんでした。大人でも十分に学ぶべきところがあります。

そして子供向けという著者の意図なのに、なぜか『投資』や『ビジネス』の棚に置いて販売していた書店。子供向けであるはずなのに、子供が読むようにと売られていない、金融リテラシーが低いと言われる悲しい日本社会の実情なのでしょうか。

『お金には、うまい付き合い方がある。』

「お金と付き合う?」という言葉にピンとくる人は金銭感覚がいいのかもしれません。人はお金を使っていると思っているようですが、意外とお金に支配されています。

自動車の運転も似たような感覚があるようなのですが、一般的には「自分は運転が上手い」と思って運転している人が多いようですが、実際には『自動車を運転しているのではなく、自動車という機能に運転させられている』という人もいます。

不思議な感覚ですが、「ハンドルを握って、アクセルを踏んで、ブレーキをかけたりしながら運転しているのは私だよ」と言いたいところですが。

実際、私たちは、今運転している自動車がどうやって動いているのか、どのぐらいのスピードで、次のカーブをどういうラインを描きながら、車体をあまり揺らさずに走るには、といったことを想像しながら運転している人は少ないように思います。

昔、あるテレビ番組で、主婦が自動車の運転の練習で、おそるおそるわざと車を横滑りさせたり、おっかなびっくりにドリフト走行をしたりして、自動車の操作と車体の動きを体で感じながら運転を学んでいるのを見たことがあります。

その時、その主婦が、自動車が走れる限界を体で実感したとき、初めて自動車を運転しているという感覚があったという話をしていました。

お金との付き合いかたというのもこれに似ているのだと思います。

お金を使うだけなら、誰にでもできます。

お店で買い物してお金を支払ったり、クレジットカードで決済したり、住宅ローンを組んで家を買ったり、これらは簡単に行うことができてしまいます。

しかし、お金も自動車と一緒で、簡単に操作ができてしまうからこそ抜け落ちる、『本当の意味での操作する』という感覚。

この本を読んで、少女キーラがどんなふうにお金を使い、そしてお金をコントロールしているのか、それを学ぶことには大人でも意味があることだと思いました。

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