「暗号資産は値上がりで稼ぐ」という時代は終わり?
ビットコインなどの暗号資産に投資をする目的といえば、その多くが値上がりによる収益(キャピタルゲイン)だと思います。
一時期は、ビットコインに投資をしていたことによって、大金をつかんだ人たちが話題になり、それと同時に、税金の納税に苦労する人がでてきたり、テレビなどで大きな不正流出事件のニュースが取り上げられたりすることもありました。
このように社会的に大きな話題となるぐらい、ビットコインの価格は上昇し、多くのキャピタルゲインを得てきた人たちがいるということです。
今では、ビットコインや暗号資産関連の話題も、だいぶ落ち着いてきたようにも感じられますが、今でもビットコインの価格の上昇傾向は続いていて、2024年3月には、1BTCが1,000万円を超えて推移するようになっています。
そんなビットコイン投資ですが、今少しずつ増えてきているのが、ビットコインを売買しないで、保有したまま利益を得ようという方法です。
その方法とは、ビットコインを貸し出すことで、金利を得るという方法です。
さらに、ビットコイン以外の暗号資産では、ステーキングと呼ばれる、貸し出すことさえ必要としない、本当にただ保有しているだけで利益が得られる方法も広がってきています。
ステーキングとは、 「暗号資産を保有し、ブロックチェーンの安定稼働に貢献したことの対価として報酬(暗号資産)を受け取ることができる仕組み」といわれ、ステーキングのサービスを行っている暗号資産取引所の口座に、保有している暗号資産を預けておくだけでステーキング報酬を得ることができます。
暗号資産の貸出やステーキングで、収入を得る
これまで値上がりするかどうかでしか、収益を得ることが出来なかった暗号資産取引。
株式投資のような配当金もなく、買った値段からどう動くのかだけに頼った、ギャンブル的な投資対象でした。
配当金や利息収入といったインカムゲインは、極端な話、値動きを無視しても収益が得られるわかりやすい収入です。
株式投資をする際にも、値上がり益を求めて売買するよりも、もっと単純に「配当金」に着目した投資戦略の方が、収益的にも、精神的にも、安定した投資ができると言われています。
また、債券という投資先が、リスクに敏感な投資初心者などに人気があるのも、「利息収入」というインカムゲインがあるからだと思われます。
債券は、発行元がデフォルトなどを起こさなければ、最終的に元本が戻り、また満期を迎えるまでの間には、利息収入を得ることができます。
対して、配当や利息のようなインカムゲインのない投資先の代表として、商品取引と呼ばれるものがあります。
一番身近なところでは、金(ゴールド)が挙げられます。
金は、利息を生み出すことができないために、金自体の価格が上がることが、利益を生み出すために必要になってきます。
同様に、鉄や銅、小麦やコーヒー豆とった農産物も、同じように価格の値上がりなどを狙って売買される、商品取引として取引されています。
これらの商品取引では、利息収入を生み出さないので、安く買って高く売るというような、トレードすることによって、収益を得ようと取引されています。
しかし、これらの取引は、売買が上手くいかなければ利益がでないため、投資ではなく「投機的な取引」だと言われています。
これまでの暗号資産も同じでした。安く買って高く売る。トレードが上手くいくことが利益につながる、投機的な取引だと言われていました。
しかし、最近増えてきた「貸暗号資産」や「ステーキング」という運用手法によって、暗号資産でも、配当金や利息収入のような、インカムゲインが得られるようになってきました。
貸暗号資産とステーキングのやり方。
貸暗号資産は、その名の通り「貸し出す」ことで利息収入が得られる運用法です。
つまり、貸暗号資産で収益を得る人の反対には、暗号資産を借りたいという人がいることが必要です。
国内の貸暗号資産取引では、主に暗号資産取引所を運営している会社に、保有している暗号資産を貸出して、利息をもらうというサービスを利用するようになるかと思われます。
マネックスグループの子会社であるコインチェックや、SBIグループの子会社のSBIVCトレードなどに、暗号資産を貸し出して利息をもらう。
このように、大手金融機関が運営している貸暗号資産サービスであれば、貸出す方にとっても安心感があるように思います。
また、ステーキングについては、貸出すのではなく、口座内に保有していることで自動的にステーキング報酬を受け取れるところもあります。
多くの貸暗号資産サービスのように、貸出すという作業がいりません。ステーキングサービスを行っている業者で口座を開き、その口座でステーキング対象の暗号資産を購入したり、他の口座から移したりすることで、その日からステーキング報酬の対象になってきます。
暗号資産でインカムゲインを得るにあたっては、貸暗号資産よりも、ステーキングの方が簡単だと言えます。
安全性についても、ステーキングの方は分別管理の対象(貸暗号資産は分別管理の対象外)となるので、万が一のリスクに対しても安心感があります。
これらのサービスが広がることで、暗号資産投資を、株式や債券のように、インカムゲイン目的で行うことも出来るようになってきました。
新たな暗号資産投資の世界が広がってきたように感じられます。