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『LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義』 吉森 保 (著)

経済や科学、その他の本

オートファジーの活性化で、長寿そして老化を抑制する。

オートファジーという名前を聞くと、なんとなく「『免疫』関係なのかな?」という印象があります。

しかし、オートファジーと免疫に関係があるということはなんとなく知っていたとしても、その詳細については本書を読むまで全く知りませんでした。

オートファジーの存在について、「なんとなく知っている」と感じているのは、もしかするとサプリや健康、美容関係といった商品の中で、オートファジーという名前を見たことがあるのかもしれません。

しかし、オートファジーは、そんな表面的なことだけではもったいないもっとすごい存在だということを本書を読んだことで知ることができました。

オートファジーは、細胞の中の仕組みのことです。たとえば、細胞内に侵入したウイルスといった外部からの物質や、細胞内の不要になった物質などを、包み込んで分解してしまう仕組みのことで、細胞が健康でいるためには大切な仕組みです。

しかもオートファジーは、ただ細胞が健康でいるためだけではなく、分解してリサイクルする仕組みでもあり、また細胞内の新陳代謝も担っています。

このようなオートファジーの仕組みは、私たちの健康や美容とイメージが直結しているところがあります。そのため、いろいろな商品でオートファジーという言葉が利用されているのだそうです。

しかし、本書を読むとわかるように、オートファジーを活性化するために何が必要なのかというところは、まだ科学的には実験中であり、はっきりとした答えはまだでていないのだそうです。

つまりは、今あるオートファジーの活性化をうたう商品のほとんどは、本当に効果があるか疑わしいと思ったほうがいいようです。

そもそも私たち人も犬猫も、昆虫も、生き物はみんな細胞でできています。

そう考えると、細胞を若く健康なままで保つことができれば、老化も病気にもならないのではないかと想像することができなくもありません。実際、本書の中の説明では病気や老化の進行のほとんどが、細胞による問題だと考えることができると言っています。

たとえば、風邪をひくのは、細胞内にウイルスが侵入することから始まります。アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経性の病気も神経細胞内のタンパク質の問題だと考えられているそうです。また、活性酸素という悪いもの代表ともいえる物質も細胞内のミトコンドリアの影響があるのだそうです。

さらに言えば、細胞を若返らせる能力をもったベニクラゲは、不老不死の能力を持っているのだそうです。

健康、老化、長寿、このすべてに細胞という組織がキーポイントになっている。そして、この細胞の老化を防ぎ、若返らせる期待がオートファジーにあると考えられているそうです。

オートファジーの活性化

オートファジーという仕組みを知れば知るほど、活性化できるなら活性化させたいと思うようになることと思います。では、現段階で期待されているオートファジーの活性化とはなんなのでしょうか。

本書の中の説明では、一言で言うなら『腹八分で運動に尽きる』になるそうです。

まず食事では、やっぱり食べすぎは良くない。この話はオートファジーに限らず、サーチュイン遺伝子の遺伝子修復機能や、老化などを予防する良い腸内環境を保つためにも必要なことだと考えられています。

オートファジーには、細胞内の物質をリサイクルして栄養を確保するという機能があり、ある程度空腹状態になったほうが活性化すると考えられているようです。

そして、オートファジーにとって良くないと言われている食べ物が『高脂肪食』だそうです。要はお肉などの脂っぽいものです。これに関しては「やっぱりそうか」という感想でした。

そして、食事だけでなく運動することも必要で、運動することでオートファジーが活性化する現象は、マウスによってその結果がすでに実験でわかっているようです。

健康のためでなく、科学的な学びとして面白い本でした。

この本は、健康になりたいと思って読むだけでなく、科学的な学びとしてもとても面白い本でした。

学者の書く本によくある、難しい単語を使って説明し、一般の人には良くわからないということが全くなく。とても分かりやすく書いてくれているので、とても読みやすい本でした。

まだまだ生命科学のことが分かってきたと思うのは、浅はかであることはわかってはいますが、それでも、この本を読み終わることろには、その入口ぐらいはわかったような気にさせてくれます。

全体的か感想としては、「とてもよかった」と感じています。

この著者にとって、この本は初めての本ということですが、もし次の本が出たら、また読んでみたいと思うぐらいです。

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