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書籍紹介:【ライフサイクル投資術】若いうちにレバレッジをかけるべき?「ハイリスクなのにリスクが減る」資産形成の新常識

2026 5/12
読書日記 投資と資産形成の本
2024年3月19日2026年5月12日

『ライフサイクル投資術 お金に困らない人生をおくる』 イアン・エアーズ (著)、バリー・ネイルバフ (著)

目次

? ライフサイクル投資術とは?レバレッジを年齢で調節する斬新な戦略

「若いうちは積極的にリスクを取り、年を重ねるごとにリスクを抑える」という投資のセオリーは、ターゲットイヤーファンドなどに代表されるように広く知られています。

ターゲットイヤーファンドは、若い頃は株式比率を高く設定し、引退に向けて債券など比較的安全な資産の割合を増やしていく仕組みです。

本書『ライフサイクル投資術』は、このターゲットイヤーファンドの考え方を、さらに「好戦的(アグレッシブ)」にした運用法を提案しています。

その核心は、「ライフサイクルに合わせて、レバレッジを調整する株式投資」です。

  • 若いうち: リスク許容度が高いと考え、レバレッジをかけた株式投資を行う。
  • 年を経るごと: 引退に向けて、徐々にレバレッジ比率を引き下げ、リスクを調整していく。

一見すると、元々リスクの高い株式投資にさらにレバレッジをかけるため、非常に危険な投資法に思えます。しかし、本書が明らかにした検証結果は、多くの投資家を驚かせるものでした。

リンク

? 「レバレッジをかけたのにリスクが減る」という驚くべき結果

このライフサイクル投資術を検証した結果、期待通りに通常のターゲットイヤーファンドなどよりも高いリターンが得られることがわかりました。

しかし、さらに重要なポイントは、期待リターンが高まるだけでなく、リスクまで減っているという点です。

「株式投資にレバレッジをかけているのに、リスクが減っている?」――なぜこのような意外な結果になるのでしょうか。

その鍵は、この投資法が「長期投資による時間分散効果」を最大限に活用している点にあります。

リスク軽減の考え方:「最悪の成績」を改善する長期投資

本書で言う「リスクが減る」というのは、短期的な価格の変動(値動きの大きさ)を指しているのではありません。これは、「最悪の成績でも何%のリターンになるか」という観点でリスクを見ています。

例えば、20年という長期投資に徹した場合、

  • ターゲットイヤーファンド:20年後の最悪のケースでリターンが +10% だった。
  • ライフサイクル投資術:20年後の最悪のケースでリターンが +15% に改善した。

つまり、ライフサイクル投資術は、最終的なリターンの「下限」を底上げし、長期的な失敗確率を減らしている、という見方なのです。レバレッジを若い時期にかけることで、若いうちに得られる人的資本(将来の収入)を担保にした、極めて合理的なリスクの取り方である、と著者は説いています。

⚠️ 注意点:途中経過のドローダウンに耐えられるか?

この投資法の基本姿勢は、「長期投資に徹するなら、最終目的地以外の途中の値動きは関係ない」というものです。

当然、レバレッジをかけている分、運用期間の途中でターゲットイヤーファンドよりも大きなマイナス(ドローダウン)となる時期が出てくる可能性は十分にあります。

シミュレーション上では「そのまま投資を継続」できますが、実際に資産が大きく減少したとき、冷静にこの戦略を継続できるかどうかが、この投資法が成功するかどうかの最大の課題となります。

しかし、本書では、この理論的提案が、現実の投資家が直面する「途中経過の大きな損失にどう耐えるか」という心理的な課題や、「個人が許容できる適切なレバレッジ水準」といった具体的な実践方法については、深く言及していません。

正直、そこには大きな課題が残っていると感じています。

とはいえ本書は、長期投資におけるリスクとリターンの捉え方に、新たな着眼点を与えてくれる一冊となっています。

リンク


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この記事を書いた人

田仲 幹生のアバター 田仲 幹生 1級FP技能士

生命保険会社、税理士事務所での勤務を経てファイナンシャルアドバイザーとして独立。数多くの相談者に向き合ってきた経験と、自身が実践する資産運用のノウハウを活かした個別相談やマネー講座が好評です。

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