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『老後資金は貯めるな! 60歳から始めればいい安心のマネー術』 長尾 義弘(著)

お金や家計に関する本

結論を言えば、年金の繰り下げ受給を利用する話

本書の老後が安心のマネーテクニックは、結論から言えば、年金制度の中の『繰り下げ受給制度』を利用することになります。

『繰り下げ受給』とは、年金の受取開始年齢を先延ばしし、通常の受給開始年齢の65歳ではなく、68歳や70歳など、年金受取を後に遅らせることができる制度のことです。

逆に、受給開始年齢を前倒しして、60歳や62歳などから年金の受給開始をすることを『繰り上げ受給』と言います。

この本では、老後の生活に係るお金の問題を解決するために、年金の繰下げ受給を利用しようという話になっています。そして、年金の繰下げ受給を利用することで、年金額が増えるという所にも注目しています。

年金の繰り下げ受給をすることで、月利0.7%という高リターンの運用ができるようになります。

計算式は、「増額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までに月数)×0.007」となっています。

「0.7%程度?」と思うかもしれませんが、年率にしたら8.4%にもなります。このリターン率は、下手な投資信託などよりも、よほどハイリターンな利回りで、尚且つ投資信託のような不確定な利回りではなく、国が約束している利回りになります。

そしてさらに、年金の受給開始を70歳まで5年間引き延ばすことで年金額は、42%も増加することになります。

この差はとても大きいと思われます。仮に年金年額が200万円の人の場合は、70歳まで繰下げ受給することで、年間284万円の年金額が受け取れることになります。

しかし、繰り下げ受給のデメリットとして、「いつ死ぬかわからないし、先にもらっておいた方が得なのではないか?」とか、「定年で退職したら、すぐにでも年金をもらわないと生活していけないのではないか?」という話が出てきます。

繰下げ受給をして、受給開始期間までどう生活したらいいの?

繰下げ受給をするとなると、繰下げをしている間の年金は、当然のことながら受け取ることが出来なくなります。

もし退職後、年金の受取開始までに数年間の期間が開いてしまったら、どの間どうやって生活したらいいのだろうという疑問も出てくることでしょう。

しかし、この辺の懸念事項は、この本を読むと軽く一蹴しています。

「十分な生活費を年金として受け取れるようになるのであれば、年金受け取りが開始されるまでは、それまでの貯えを使い切るつもりで生活すればいい」と言っています。

とてもシンプルな答えです。まさにシンプル・イズ・ベスト!

何事もシンプルに考えれば、悩みや不安も少なくなる!ってことなのかもしれません。

ストックではなく、フローに注目する!

本書の中でも良く出てきますが、『老後に向けていくら貯蓄すればいいのか?』と世間ではよく言われています。

しかし、本当に注目すべきことは、貯蓄額ではなく収入額、つまりストックよりもフローなのです。

この視点は、資産運用や投資などにも言える話です。

「投資や資産運用で、一体いくらの資産を作らなければいけないのか?」といった説明をよく見かけますが、こういう類の話は、全くの的外れだと思っています。

資産運用の目的は、労働以外の収入を作ること。資産額ではなく収入、つまりストックよりもフローが重要なのです。

インデックスファンドに積立投資することで、資産額が2,000万円に到達したとしても、これで資産運用が終わったということはないはずです。

問題は、「この2,000万円という資産からどうやって収入をうみだすのか?」。もしくは、「この2,000万円をどう取り崩していくのか」、この視点なしに資産運用を行うのはナンセンスです。

老後の貯蓄もこれと一緒だというのが、本書でも言っていることなのだと思います。

要は、老後のための貯えよりも、老後の収入を増やすこと。言い換えれば、働かなくても入ってくる不労所得をいかに増やすのかが大切ということなのではないでしょうか。

極端な事を言えば、「何があっても絶対に途切れない十分な収入があれば、貯蓄なんてゼロでいい。」ということです。

そして、何があっても絶対に途切れない収入の一つに公的年金がある。どんなに長く生きても、100歳、110歳、120歳、いくつになっても生きている限りずっと受け取れるのが公的年金。

その公的年金を少しでも多く受け取れるようにしておけば、老後は安心というわけです。

シンプルな考え方ですが、まったくもってその通りだと思いました。

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