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『マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール』 マックス・ギュンター (著)

投資と資産形成の本

富裕層に限らないお金のルール

スイスや銀行というと、富裕層が良く利用しているというイメージがあります。スイスには、プライベートバンクと呼ばれるものがあり、ただお金を預かったり引き出したりするだけの銀行ではなく、個人の資産管理や運用、保全なども行っていると言われています。

本書のタイトルに、『スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール』とあるので、富裕層のお金の話だと思ってしまいますが、そういうことでもありませんでした。

富裕層のお金の管理では、リスクを抑えることを重視したインデックスファンドやポートフォリオ運用といった手法がとられているという話をよく聞きますが、本書の内容はそういう話ではなく、もっと大切な、「お金を賭ける」ということについての話です。

つまり、『投機』や『投資』すべてに共通する話です。

お金を賭けることとは

この本は、トレーダーとして有名なラリー・ウィリアムズが「年に一回は読み返す」と言っているほどの本です。投資やデイトレーダーなどで投機をする人にとって、とても大切なことが書いてあります。

たとえば、『「失っても大丈夫なお金だけ賭けること」ではお金持ちになれない』、『「お金をリスクにさらせ」、リスクを自ら取りに行かなければ利益は得られない』、『「長期投資を避けよ」、必要な長期資産計画は、お金持ちになろうとする意思だ』

言われてみれば当たり前のような話だけど、普段抜け落ちている視点だとも思いました。「全くもってその通り」という感じです。

この当たり前のようなことが、抜け落ちてしまうのには、一般的にこの発想とは逆のことが正解だと言われているからだと思います。

「投資は余裕資金の範囲内で」、「リスクを軽減しながら投資しよう」、「分散投資をしよう」、「長期投資をしよう」。

これらの話は、いかにももっともらしく聞こえるものですが、実際にはこのようなアプローチで投資をしても、お金持ちになることはできないと思います。

お金持ちになるための投資は、『できる限り多くのお金を賭ける、なんならレバレッジさえも利用する』、『リスクを軽減するのではなく、リスクを取れる範囲を大きくするためにリスクコントロールをする』、『分散投資よりも集中投資』といったことが必要です。

失ってもいいお金の範囲で投資をしていたら、たいしてお金は増えません。リスクにさらすお金の絶対量が少なくなるため、大きく儲けることはできません。

投資でお金を増やすためには、自ら望んでリスクをとっていかなければなりません。もっと言えば、リスクをとることを楽しめるぐらいにならないといけないと本書では言っています。

言われてみればその通りです。リスクをとらずに利益を得ようなんてムシのいい話は、この世界には、なかなかあるものではありません。

長期的な計画を立てて投資をするという話も似たようなものです。よくファイナンシャルプランナーや金融機関の営業の人などが長期的な計画書を作成したりすることがありますが、資産形成のためには、そういう計画書はむしろ害になることがあります。

そもそも、そんな長期的な計画を立てたところで、投資で計画通りに進むということは、まずありえません。

リスクとは、『損をする』ことではなく、どうなるか分からないという『不確実』なことを指します。つまり、投資で資産を増やそうとすると、計画通りにはならない可能性の方が大きいわけです。

計画書通りに、同じことをするだけで大きな資産が築けるほど世の中甘くないということです。投資をしながら、その時その時で考え、判断し、行動していかなければなりません。

『長期資産計画は、お金持ちになろうとする意思だけだ』と本書にありましたが、これも全くもってその通りの話で、とてもいい言葉だと思いました。

リスクを増やして、長期的な計画もない、これでは「投資ではなく投機ではないか」と思われるかもしれません。

しかし、投資と投機は、どうやって区別しているのだろうか。投資も投機も、将来の値上がりを狙ったものならば、タイミングの違いだけで、そこにそれほど大きな違いはないのかもしれない。

もしかすると、投資という言葉を使ったほうのが、投機という言葉よりも信用できるし、ちゃんとしたことをしているというイメージもあるため、ただ投資という言葉を使っているだけなのかもしれない。

そもそも投資とは、投機の中の一つなのかもしれません。

この本に書いてあることは、投機についての理です。投機をする上で、押さえておかなければいけいないことは、ゲームで勝つコツです。そしてゲームに勝つためには、そのゲームで負けないようにするための基本を知らなければなりません。

投機というゲームで負けないため、そしていつか来る幸運を確実につかむため、そのために必要なこと、それが『マネーの公理』なんだなと思います。

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