株式投資は怖い?
NISAの普及などで株式投資が身近になった今でも、「株式投資はギャンブルのようなものだ」と考える人は、依然として少なくないようです。
確かに、株式投資は負ければ財産を失うこともある危険なかけ事だという認識は、決して間違っていません。
しかし、その反対では、堅実な株式投資を行ってきたことで、相当な財産を築いてきた人がいることも事実です。そういう意味では、株式投資はギャンブルではなく投資だと言えます。
そして、その違いを分けているものが何かといえば、『リスク管理』になります。
リスクを管理しない株式投資は、ギャンブルだと言えます。ですが、リスクを管理しながら行う株式投資は、どうやらギャンブルではなく投資と言えそうです。
株式投資の本質は、企業の利益の一部を分けてもらう事だと言えます。そして、その利益とは、配当金を受け取るという意味ではなく、企業の利益の一部に対して権利を持つことになります。
参考)株式投資家なら知っておきたい!株主という立場の権利と役割
つまり、企業が事業を行い、その中で利益を上げ、そしてその利益をまた事業へ再投資するという経済の流れに、株式を保有することで便乗することができるのが、株式投資の魅力になります。
さらにもっと広い目で見るならば、世界中の企業が事業活動を行っていくという流れは、そのまま世界経済の流れにつながっていくことになります。企業が成長していくことと、世界経済が発展していくことには、深いつながりがあると言えます。
「世界の経済はこれから10年20年と時がたつにつれて、成長すると思うか、衰退すると思うか」、と問われた時、衰退すると答える人は少ないのではないかと思います。
私たちは、お金を払う必要はあるけれど、いつでも食べたいものが食べられて、おしゃれな洋服を着て、昔の家よりも立派な建物の中で、暑い日も寒い日も関係なく管理された空調の中で生活ができる。これは経済が発展してきたからこそできることです。
そしてこの流れは、「これからの未来も、今までと同じように続いていくようになる」と考えることは、決して不自然なことではないと思います。
世界経済が発展すれば、それと一蓮托生の株式にもいい影響を与えることになる。つまりは、世界経済の発展とともに、株式投資も報われるようになる。
こう考えると、本当に株式投資は、ただのギャンブルだと言えるものなのでしょうか?
株式投資をギャンブルにしているものとは?
株価というのは、その価値にほとんど関係なく、上がったり下がったりを繰り返しています。
たとえば、一日の間で株価が数%変動するなんてことも、株式市場ではよく起こっています。ですが、実物の企業の価値も株価と同じように、一日の間に数%変動しているのでしょうか?
大震災のような特に大きな事件もない中で、企業の財産、事業規模、売上、利益、これらがたった一日、もしくは数時間、数分のうちに、何%も増えたり減ったりしているのか?
そう考えると、ちょっとおかしなことだなと思ってしまいます。
しかし、株式の世界ではそれが当たり前のように起こっています。なぜならば、株式の価格というのは、その株を売る人と買う人の需給のバランスでできているからです。
その企業に価値があるかないかとは関係なく、株を売る人が安く売って、それを買う人がいれば、株価は下がるし、その逆が起これば株価は上がるというわけです。
そのような、買う人と売る人の需給に絡んだ方法で株式投資をしようとすると、株式はギャンブルになる事がある。そして、やり方を間違えると、財産を失うこともあるとてもリスクの高いものとなってしまうことがあるわけです。
そのため、デイトレーダーのような株式の需給で利益を得ようとする『短期売買』という手法は、ギャンブルに近いと言われることがあるわけです。
株式投資の基本的なリスク管理法
ギャンブルのような株式投資とは違う、堅実な株式投資というのは、株式の需給から離れた、株式の価値に着目した投資法であることが多いです。
たとえば、経済や企業が、長期的に発展していくことを期待して投資をする長期投資がその代表例だと言えます。
また、その長期投資とともに大切なこととして、『分散投資』があります。
この『分散投資』こそが、株式の不確実性のリスクを抑えるための、大切なテクニック。つまりは、リスク管理の方法となってきます。
投資する銘柄の分散、投資するタイミングの分散、そして売却のタイミングの分散によって、リスクを管理していきます。
銘柄の分散
資産運用の入門編として、よくインデックスファンドというものが紹介されていますが、このインデックスファンドこそ、『分散投資』の教科書のようなものになります。
インデックスファンドは、価格変動が市場平均に連動するように設計されていると言われ、言い換えれば、個別銘柄のリスクがゼロになるように作られています。
そして、インデックスファンドの個別銘柄のリスクをゼロにする方法というのが、まさに『分散投資』であり。幅広い業種に、幅広く分散させることで、個別銘柄のリスクは、かぎりなくゼロに近づくようになります。
また、全世界株のような多数の国の株式に分散させることで、個別の国のリスクからも離れて、世界経済全体の流れに乗ることを想定したインデックスファンドもあります。
このように、投資先を分散させることで、株式投資のリスクをある程度管理することができるようになります。
売買のタイミング
分散投資の手法には、投資先の分散(銘柄の分散)だけでなく、投資のタイミングや、売却のタイミングを分散させる方法もあります。
もっと本質的な事を言うならば、『資金管理』がリスク管理のポイントになります。
いくらまで買うか、いくらまで保有するか、いくらまで売るか、その金額を決めることが、『資金管理』になります。
具体的には、「投資資金の半分までを株式投資に使い、もう半分は安全資産の代表である現金として取っておく」と決めれば、その投資資金全体のリスクは、株式投資の部分だけに限られるので、リスクを50%以下に限定化することができます。
たとえば、万が一のことが起こって、もし株式資産の価値がゼロになったとしても、もう半分は手元に残るというわけです。
このように、株式投資に使うお金の量を決めてリスクを管理するのが、『資金管理』の方法になります。
ただ、このどのくらいの割合で株式に投資するのかを決めるのが、投資経験の浅い人には、なかなか難しかったりします。そこで、そのためによく使われている手法が、『積立』という方法になってきます。
『積立』で、徐々に徐々に株式資産を増やしていくようにすることで、取るリスクの量を少しづつ大きくしていきます。リスクを少しずつ増やしながら、自分のリスク許容量の限界値を把握していくようにします。
そして、その許容範囲を超えるようになってきたら、積立をやめればいいし、場合によっては、少し売却してもいい。
資金管理という方法でリスクを管理できるようになるためには、まず『自分のリスク許容量を知ること』がとても大切なことになります。
ただ、そのリスク許容量というのは、全員にあてはまる答えがありません。その人の家計、財産、ライフプラン、そしてなにより性格や適性によって違ってくるので、人それぞれ全く違う答えになってくるものです。
それらを考えながら、どのくらいの割合で株式に投資するのかを決めるのが、資金管理というリスク管理法のポイントとなります。