「割安」と「安い」は全くの別物!

バリュー投資は、株式投資の戦略として有名です。意味合いとしては、本質的価値を下回っている株価の銘柄に投資をすることを意味します。

そのため、安ければいいというイメージを持たれることもありますが、ただ安いだけでは失敗することもあるので、正しく理解しながら行うことが大切になってきます。

株式市場を理解する言葉として、「効率的市場仮説」という言葉があります。

この「効率的市場仮説」によれば、市場は効率的に機能しているために、その価格(株価)になっているのには、そうなるだけの理由があるからだと考えられています。

つまり、株価が安いのには、安くなるだけの理由があるという事になります。

例えば、「これからその会社は業績が悪化していくなどの理由により、株価が下落していくリスクが大きい」、といった考えが、その株価に反映されているといったことになります。

極端な話、もし株式市場が効率的市場仮説で説明されるとおりなのであれば、「バリュー投資」という投資戦略には、なんの意味もないという事になります。

そしてこの「効率的市場仮説」という考え方は、現実の株式市場にほぼ合致している、というのは多くの人が認めるところでもあります。

つまりは、株式市場で安いものを買うという行為は、ただの「安物買いの銭失い」になる可能性が高いというわけです。

株式投資でバリュー投資を行うことは無意味なの?

株式市場で安いものには、安いなりの理由があるという考え方は、学術的にも往々にして間違っていない。

しかし実地では、そうとも言い切れないところもあるようです。例えば、学術的なバリュー投資の研究で、株式投資の「バリュー効果」という説明があります。

これは端的に言えば、株式市場の中で、株価が一定のバリュー指標となっているものを抜き出してポートフォリオを作ると、市場平均よりも高いパフォーマンスを示す傾向がありそうだという話になります。

経済学者のユージン・ファーマとケネス・フレンチによると、株式投資の期待収益率は、3つのファクターで説明できると言っています。そしてその3つの中に、バリューが含まれている。

効率的市場仮説によれば、安いものには安いなりの理由があり、株価は常に適正な価格を示しているということは、バリュー銘柄だけでポートフォリオを作っても、結局は市場全体と同じパフォーマンスになると説明できるはずなのですが、バリューのものだけに絞ると市場全体よりも期待収益率が高くなっていたという話です。

つまり、バリューには効率的仮説では説明しきれない何かがあるのかもしれない。

割安なものにだけ投資をするバリュー投資家というのは、この理論と現実のずれを利用しているのかもしれません。

「理論的にはこうなるはずなのになっていない」、そういうところを見つけて投資をする。それが、バリュー投資の『割安』ということなのかもしれません。