
『熟睡者』 クリスティアン・ベネディクト (著)、 ミンナ・トゥーンベリエル (著)
誰もが「しっかり眠ることが健康に良い」ということは知っています。
寝不足が学習効率の低下、集中力の欠如、イライラの原因になることも、身をもって体験済みでしょう。いまさら睡眠の重要性を語られても、「分かってるよ!」と思うかもしれません。
しかし、どんな睡眠をとればいいのか、必要なのは質なのか量なのか。しっかりと睡眠をとることで具体的にどんな効果が得らえるのか、どう健康に良いのか。そういうことはあまり知られていないことではないでしょうか?
この本は、そんな睡眠について書かれた本です。そして本書によると、睡眠には様々な効果があることがわかります。
深い眠りだけじゃない!睡眠の「質」の秘密
眠りには、深い睡眠や浅い睡眠、レム睡眠などがありますが、一般的によく気にされているのは、深い睡眠なのではないでしょうか?
しかし良い睡眠には、深い睡眠だけでなく、浅い睡眠やレム睡眠も必要なのだそうです。
深い眠りでは、脳の休息や脳神経細胞の整理、老廃物の除去などが行われ、夢を見る比較的浅いレム睡眠では、ストレスの解消などの精神的な回復が行われているという話でした。
つまり良い睡眠に大切なの事は、深い眠りと浅い眠りのバランスという事のようです。
ただ、生活習慣などが災いして、深い眠りがあまりできなくなり、眠りのバランスが崩れている人もいるため、その場合には生活習慣を見直すことも必要なのではないかと本書は提案をしています。
その中でも、睡眠のための生活習慣として、もっとも大切だと思ったのは、「太陽に光をよく浴びること」だと感じました。
できれば午前中に日光を浴びる、もしくは目に入れることで、体内時計をリセットし、夜になったら眠れるようにする。
当たり前といえば当たり前の話なのかもしれませんが、大切な事って案外そんなものなのかもしれません。
睡眠が「すべて」に影響する驚きの事実
また、しっかりとした睡眠をとることが、脳や記憶だけでなく、肥満解消や運動能力にも必要な事、さらにストレスやメンタル、そしてなんと腸内細菌にまで影響するという話は意外でした。
良い睡眠ができるようになると、脳の老廃物の除去が進み、神経細胞の連結が強化され、長期記憶として定着するようになるという事は、きっと認知症などにも良い効果があるんだろうなと思われるし。
代謝機能の改善がされれば、肥満になるリスクが下がり、成人病予防につながることも想像できます。
そして、正常な腸内フローラを維持することは、健康のために必要なことはよく知られています。
結局、睡眠というのは、健康にまつわるほとんどのことに関係していると感じました。
良い睡眠は、健康維持にとても大切。そして今は、スマートウォッチなどを使って、自分の睡眠の質を調べることができるようになっている。
ただ、そういうのを測りだすと、いい睡眠じゃなかった時に、そのことを極端にマイナスと受け取ってしまう人もいるようですが。本書では、別に毎日毎日良い睡眠をとらなければいけないとは言っていないことが、また大切な事なのではなと思いました。
人間の体って、本当によくできていると感心します。
本書を読んだことで、自分の睡眠をよく知り、本書にある改善案を実施し、良い睡眠をとることを実践してみたいと思いました。