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『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』 エリック・バーカー(著)

経済や科学、その他の本

成功法則を語る多く本

「成功法則」について語っている本は、ほんとたくさん出ています。

しかし、そのほとんどが個人的な経験論であったり、結局は「願えば叶う」と言っているだけだったりして、正直言って本当に信じていいものなのかどうか、もっと具体的に言うなら『科学的な視点』から考えても正しいといえるのかどうかがよくわからないことが多いものです。

そしてこれらの類の本というのは、読んだだけで満足してしまうことが多くて、意外と生産性のない読書になることが多いとも感じています。

そのためかよく言われているのが、「自己啓発の本をたくさん読んでいる人ほど、うまくいっていない」といった話です。

しかし、本書はただの成功話ではなく、成功の裏にあるエビデンス(証拠)というものに注目していて、そこが他の成功論の話と違って面白かったです。

この本を読んでどうしようというよりも、知識として「世の中にはこういう法則?があるのか」ということを知ることに面白さを感じました。

『成功』ってなんだろう?

この本「残酷すぎる成功法則」に似ている本として、「となりの億万長者」という本を思い出します。

ちなみに「残酷すぎる成功法則」も「となりの億万長者」もベストセラーとなっているようですが、なんとなくわかる気がします。

この「残酷すぎる成功法則」では、個人が成功したという話が誰にでも当てはまるものではないということをはっきり説明しています。

たとえば、成功に関する本の多くでは、人との付き合い方が良くならないといけない、いわゆる外交的である方がいいと言っているのを見かけます。

たしかにそのことは間違ってはいないのだと思いますが、外交的であることは成功するための絶対的な理由にはなっていないという事実も説明されています。

本書の中で成功者として例えられていた人物に、歴史的そして世界的に有名な物理学者ニュートンが紹介されていました。

ニュートンといえば、万有引力を発見したりするなど、数々の偉大な発見や研究を行った、今でも教科書で必ず出てくる超偉人です。はっきり言って私たち凡人の立場から見たら、成功者以外の何物でもありません。

そんなニュートンですが、実は人との関わり方がものすごく悪かったという話は有名です。

ニュートンは、確かに超偉人なのですが、人づきあいはほとんどできていないかった、むしろそれどころか人とかかわることを徹底的に嫌っていたぐらいで、成功者に必要だと言われることの多い『外交的』な性格とは真逆の『内向的』な性格だったようです。

それ以外にも、私はあまり知らないのですが、有名なメジャーリーガーでテッド・ウィリアムズという人も、とにかく野球ばかりの人で、人づきあいはうまくなかったのだそうです。

つまり、成功するためと外交的なことは必ずしも一致していないというわけです。内向的な人間には成功することは無理なのかなと言うと、決してそういうわけではないということです。

上司や職場の同僚とうまくやっていて、人気者で、どんどん社内で地位を確立していく人を見ながら、「内向的な自分はダメだ」と思っている人もいるかもしれませんが、そんなことは成功とは全く関係ないのかもしれない。

外交的でない自分を責めて、外交的にならなければと悩むより、内向的であることを活かした成功への道を探すべきということのようです。

たとえば、この本を読んで思ったこととして、何かの専門家になるためには外交的な性格よりも内向的な性格の方が向いているのかもしれないと思いました。

それと、投資家になる人の場合も、外交的な人より内向的な方のが向いているかもしれないとも思いました。

投資家として成功するためには、とにかくいろんな勉強をし、いろんな知識を身につけ、気づいたことや思いついた方法があればとことん試して、実験しながら失敗、成功を繰り返して自分に合った投資戦略を探していく。まるで研究者みたいなイメージだと感じています。

投資家の場合も、人と向き合っている時間よりも、本を読んだり情報を探したり頭で考えたり、といった時間を多くする方が重要になってくるのではないかと思うわけです。

つまり、目指すべき成功への道によっては、人付き合いがかえって邪魔になることもあり得るのだろうと思うわけです。

やり抜く力

成功に必要なものがあるとすれば、その一つに『グリット』という言葉がありました。

「グリット」つまり「やりぬく力」のことを言っているわけですが。つまり、あきらめずにやり抜くことが大切だと考えられています。

しかし逆に、やり続けていることで、いつまでも失敗を続けてしまい、損失ばかりになることもありえます。やり抜くというのは、強力な力であると同時に、下手をするととんでもない損失を抱える可能性だってある危ない話でもあります。

実際には、どこかで見切りをつけることも本当は必要だったりするわけです。

そこで大切なのが、「小さく賭けろ」ということです。そして、その中から良さそうなものを選んで伸ばしていけ(やり抜け)ってことになります。

他にも、ゲームに見立てる話や、自信の考え方、コントロールする感覚、などなど面白い話がたくさんありました。

知的好奇心と同時に、大切なことも書いてある本だと思います。

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