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『新版 バリュー投資入門 ーグレアムとバフェットを超えるために (ウィザードブックシリーズ Vol. 323) 』ブルース・C・グリーンウォルド (著)

投資と資産形成の本

バリュー投資ってなに?

株式投資の投資戦略の一つであるバリュー投資。ベンジャミン・グレアムやウォーレン・バフェットなどの多くの著名投資家も採用していると言われていて、その有効性も期待されている株式投資の主要な戦略の一つです。

バリューとは、日本語では『割安』と訳されてもいるように、バリュー投資は株価が安いと思われる株式に投資をする投資戦略です。

本書は、そのバリュー投資の教科書的な内容になっています。

まるで学校で教わる授業内容のような、バリュー投資の基礎的な知識が学べるようになっています。ただ、教科書的なものであるためか、基礎知識や考え方、理論などが主な内容となっていて、具体的なノウハウが知りたいと思っている人には少し物足りないのかもしれません。

しかし、バリュー投資が本当に優秀な投資戦略であっても、それを実践の中で実行するためには、そのノウハウの裏付けとなる理論や根拠等を知っておかなければ、どんなに優秀な投資戦略であっても、実践の中で活かすことはできないものです。

なぜバリュー投資を行うのか。バリュー投資が有利だと考えられる理由には何があるのか。過去の事例から判断できるバリュー投資の意義とは。バリュー投資の問題点は何か。バリュー投資が上手く機能しない時とは。

こういったことを理解することで、本当の意味でバリュー投資を実践の中で活用することが出来るようになるのだと思います。

本書は、投資戦略の具体性よりも、その理論と考え方に重点を置いた本です。

本質的価値の考え方。

バリュー投資を行う上で、一番問題となるところは、『本質的価値』の見積もり方なのではないかと思います。

バリュー投資は、「本質的価値よりも安いものを買う」という、シンプルな考え方を持っています。またバリュー投資の考え方は、ほとんどこの一言で説明できるので、初心者でも簡単に実行できるような気もしてきます。

しかし、バリュー投資では、この「本質的価値よりも安い」という判断が、実際に実行しようとすると、大きな問題となってきます。何をもって本質的価値を図るのか、企業の資産的価値なのか、将来の成長力なのか、そもそも市場で値付けされた株式の価格と本質的価値に乖離はあるものなのか、といった問題が出てきます。

金融理論の中に『効率的市場仮説』という考え方があります。この説によると、株式市場は強度の効率性を持っているため、株価に影響を及ぼす情報は、その情報が公開されると、瞬時に株価に反映されることになると考えられています。

つまりは、株式市場という所は、いつでも合理的な株価を見積もっていて、なおかつ常にその価格になるように動いていると考えられているわけです。そうなると、株価というのは、常に合理的な価格になっているというわけだから、「本質的価値よりも安く買う」というのは、そもそも不可能だということになります。

バリュー投資とは、今では一般的にもなっているこの『効率的市場仮説』という金融理論に対し、真っ向から反対する立場をとっていると言えなくもありません。

果たして効率的市場仮説に逆らってまで考える「本質的価値」とはなんなのか。効率的市場仮説が間違っているのか、それともバリュー投資家という人たちは、効率的な株式市場の中で、本質的価値を値踏みしようという妄想に取りつかれているだけなのだろうか。

「本質的価値よりも安いもの買う」という話は、このように実際には様々な問題を抱えています。

そのため、バリュー投資を実践するためには、この『本質的価値』をどう捉え、そして考えるのか、をはっきりとさせておかなければなりません。そうしなければ、投資家としてのスタンスがブレてしまいます。

本書は、バリュー投資家としてのスタンスを確立するための基礎となる知恵を学ぶことが出来ます。実際にアメリカの大学では本書を教科書として授業していることもあるようです。

バリュー投資家として株式の本質的価値をどう考えるのか、本質的価値を考える上での問題点の把握と実践の中での応用、そして効率的市場仮説とバリュー投資の関係など、本書はバリュー投資の基礎的な考え方として必要なことが網羅されています。

確かに、具体的な実践ノウハウに関してはあまり明確にはされていませんが、逆にそのおかげで、自分がどう考えるのかという自分流のバリュー投資を探すということ関して、とても参考になる本になっていると思います。

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