節税が出来ると話題のNISA口座にもデメリットがある。
2024年からNISA制度が新しくなり、制度が恒久化されて非課税期間も無期限になり、使い勝手がとても良くなる予定のNISA口座。
個人で資産運用をするならば、使わない手はないとさえ言われています。
NISA口座によって、投資の利益に対する税金がかからなくなることで、運用効率が上がり、より効果的に資産形成ができることが期待されています。
また、これまでのNISA口座では、損失が発生している銘柄等を売却すると、損益通算できないことがデメリットだと言われていました。中には、それを理由にNISA口座は使えないと考えている人もいました。
しかし、2024年から非課税投資枠も拡大されて、総額1,800万円になる予定です。非課税枠が1,800万円も使えるのであれば、投資資産をすべてNISA口座内で運用するようにすることで、今後は損益通算できないデメリットは、あまり考えなくても良くなったと思われます。
つまり、これまで使いにくいとされていたNISA口座のデメリットがなくなって、これまで以上にNISA口座の活用が、今後の資産運用に有効なのではないかという期待感がでてきました。
しかし、それでもNISA口座のデメリットが全てなくなったわけではありません。
NISA口座では、貸株サービスが使えないというデメリットは、これまで通り残りそうです。
金利収入が追加で得られる貸株サービス。
株式を保有しているだけで収入が得られるものと言えば、配当金がありますが、実はその配当金にプラスして、貸株金利がもらえる貸株サービスというものもあります。
つまり、貸株サービスを利用している人は、配当金+貸株金利という2つのインカムゲイン(収入)を受け取っていることになります。
たとえば、投資資産額が総額1,000万円の人の場合、投資銘柄にもよりますが、もし配当利回りが平均3%だとすると、年間の配当金が30万円(税金控除後は約28万円)。そして貸株金利が平均0.1%だとすると、1万円。合わせて31万円(税金控除後は約29万円)を受け取っているという事になります。
しかも、貸株金利は、証券会社によっては銘柄ごとに金利が違っていることが多く、高いものでは年率1%以上、中には10%近い銘柄もあり、人によっては0.1%以上の金利収入を受け取っている人もいると思われます。
また、貸株サービスは個別銘柄だけでなく、証券取引所に上場している投資信託のETFでも利用することができるので、簡単に言えば、ETFを買って貸株にしていれば、同じタイプの投資信託などよりも、効率的な運用ができるようになっていることになります。
この貸株サービスは、株式を長期間保有するタイプの投資家にとっては、簡単に投資のリターンを上げることができるので、とても魅力的なサービスなのですが、この貸株サービス、実はNISA口座では利用できません。
NISA口座が投資する人全員にとって有利な制度になるとは限らない?
結局NISA口座で貸株サービスが使えないということは、単純に貸株金利として受け取れるはずの18,000円(非課税投資枠1,800万円×貸株金利0.1%)分の利益が受け取れなくなるということになります。
ただ、それでもNISA口座の非課税効果の方が大きい場合の方がほとんどだとは思われますが、中にはNISA口座で投資をせずに、特定か一般口座を利用しながら、貸株金利を受け取っていた方が良いという人もいることも考えられます。
たとえば、売却を考えない超長期投資を基本として、配当収入を得ることを目的としている人の場合などは、売却益への課税を気にする必要がないこともあります。
その場合、配当金にかかる税金だけを気にするのなら、所得税と住民税には『配当控除』という制度があるため、確定申告することで配当金にかかる税金を、かなり減らせることが期待できます。
他には、配当金以外の所得がほとんどない人の場合には、総所得金額が所得税や住民税の基礎控除(所得税48万円、住民税43万円)以下だったら、配当金で差し引かれた税金がすべて還付される場合もあります。
このような人たちは、NISA口座で投資をすることなく、これまで通り一般口座や特定口座で投資をして、貸株サービスに登録する方がメリットは大きいと思われます。
周りでは「NISA口座がお得です。」という宣伝が多くなって、これまで投資をしてこなかった人の中にも、NISA口座に興味を持ち始めた人が結構いるようです。
しかし、本当にNISA口座が必要なのかどうか、改めて考えてみることも大切です。