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『株が上がっても下がってもしっかり稼ぐ投資のルール 新版 波乱相場を勝ち抜く』 太田 忠(著)

投資と資産形成の本

「上がっても下がってもしっかり稼げない?」期待したほどではなかった。

現状の株価に不安を感じるようになると、「上がっても下がってもしっかり稼ぐ」という言葉は、とても気になるタイトルになってきます。

何よりも、「下がっても」という言葉に興味を持ち読んでは見たものの、結果的には、ちょっと残念という印象を持ってしまいました。

本書を読んでみて、「この手の本によくあるパターンに陥っているのでは?」という感じを受けました。

そのパターンというのは、理屈や理論を様々に展開し、それっぽい説明をしてはいるものの、どこか具体性にかけるというパターンです。

おそらく、この本を読んだことで、株価が上がっても下がってもしっかり稼ぐ投資のルールを、見つけられることはないかもしれない。

「バイ・アンド・ホールドの時代は終わった。」「逆指値注文をつかえ。」「フルインベストメントはするな」「下落相場での対処法が大切だ。」

など、下手な金融理論を持ち出して、頭でっかちな説明をするのではなく、実践的な株式投資の大切なことを、この本では言っています。

そして、この実践的な株式投資の大切なことこそが、株式市場に向き合う者にとって、一番重要であることは、株式市場と15年超向き合ってきて感じていることでもあります。

そのため、その先を期待してしまった。

ですが、本書では、そこがいまいち足りなかった。というのが、この本を読んだ感想でした。

ポートフォリオの考え方は、参考になるかも?

本書で紹介されている手法には、「信用取引やデリバティブを使って、下落相場に対応する」や「損切りルールを徹底する」などがありました。

しかし、その手法にいまいち具体性がかけていたように感じました。

実際に、本人はその方法をやっているのだろうか?

読みながら、自分で本書の取引手法を使って運用しているイメージがわかない感覚があり、もしかすると、著者は、「何となくそうなのではないかと思っていることを、ただ説明しているだけなのでは?」とも思いました。

なので、本書を読んで「信用取引で売り取引をやってみよう!」などと考えることは、かなり危険だと感じます。

実際に実践できる内容としては、ポートフォリオの考え方ぐらいではないでしょうか?

利確や損切り、信用取引などでの「売り」ができることが、下落相場への対処法として、最強であることに間違いないことでしょう、しかし、これがそう簡単にできることではないものです。

その点、ポートフォリオ運用戦略は、「売り」ほどの効果は期待できないものの、比較的実行可能な、相場の上下動への対処法だと思っています。

本書の内容で、特に共感を得たのが、「なにも複数の資産に分散投資をする必要はない」という話です。

ポートフォリオで、いろんなものへ分散投資をする運用方法が、世間では広まっていますが、「リスクを管理」できれば、複数の資産に分散する必要はなく、投資初心者であっても、株式と現金のポートフォリオで始めればいいという話でした。

これに関しては、まったくもってそのとおりだと思っています。

インデックスファンドの生みの親ともいわれる、ジョン・ボーグルも似たようなことを言っていました。

ボーグルの場合は、「インデックス投資は勝者のゲーム」という本で、株式と債券というシンプルなポートフォリオを推奨していました。

さらに、この本「株が上がっても下がってもしっかり稼ぐ投資のルール」では、分散投資だからといって、自分のわからないものにまで投資をする必要はないとも言っています。

この話で有名なものとしては、投資の神様ウォーレン・バフェットが、「自分の理解できないものには投資をしない」というルールを持っていることが挙げられます。

「投資は、自分の理解の範囲で行う」というのは、リスク管理の基本とも言える話です。

投資でリスクを増やして行くなら、投資しようと考えている株式などについて勉強し、その理解が広まるのに合わせて、リスクを増やし投資をしていくと、本書では説明していました。

この話についても、まったくもってそのとおりだと思います。

リスクを減らすために、様々な資産に分散投資をし、ポートフォリオで運用しようという話をよく聞きますが、そもそもポートフォリオ運用で、なぜリスクが管理できるのかさえもわかっていない人は、案外多い。

ましてや、そのポートフォリオに含まれる、リートや金がどういった投資なのか、外貨建て資産に投資をするということが、どういうことなのかなんてことは、もっとよくわかっていないのではないでしょうか?

本書のポートフォリオの考え方は、実践派にとって、貴重な視点を与えてくれる話なのかもしれません。

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