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『お金は君を見ている 最高峰のお金持ちが語る75の小さな秘密』キム・スンホ (著)

お金や家計に関する本

お金との付き合い方

お金持ちが書いた、お金との付き合い方という内容の本です。イメージ的には、有名な『ユダヤ大富豪の教え』(本田健 著)に近い感覚のものです。

お金は、モノでありながら、モノともいえない性質を持っていると筆者は考えています。それは一種の人格のようなものであり、友達や親などと付き合うように、お金とも付き合わないと、お金の方から、あなたと付き合う気をなくすと言っています。

まさに『お金は君を見ている』というわけです。あなたがお金を雑に扱えば、お金もあなたを雑に扱う。

また本書の中では、『質の悪いお金』という表現も出てきます。

宝くじのような、一発大きく当てたお金や、努力や気持ちのこもっていないお金というのは、入ってきたところで、また出ていく。

あなたのもとに残ってくれることもなければ、あなたのために働いてくれることもない。

これらの話は、まるでスピリチュアル的な話にも聞こえなくもないかもしれませんが、実は、心理学や行動経済学という科学的な見地でも説明できるものだと言われています。学術には、これらの現象をハウスマネー効果とよんでいます。

このように、この本では理論的というよりも哲学的な観点からの話が多くなっています。

そして哲学的という考え方は、ある程度の経験がなければ話せるものではありません。お金持ちになる哲学は、実際に自分の力でお金持ちになった人だからこそ言える話でもあります。貧乏人が、「お金持ちになるためには、お金を大切に扱いなさい」と哲学的なことを言っても、なんの説得力もないものです。

お金持ちになりたい人が、お金の相談をするなら、自分よりも貧乏な人に相談してはいけないといった話も書いてありました。

この意見には、「言われてみれば当然のことだ」と思うかもしれません。しかし実際には、意外とそういうことをしてしまっている人は多いと思っています。

具体的には、資産運用のアドバイスを求めて、投資や資産運用でお金を稼いでいない人に相談しに行くような行為が、それに近いと思われます。

例えば、多くのファイナンシャルプランナーなどの相談はそれに近いと思っています。中でも、投資信託の仲介や販売をしている人たちは、その可能性が高いと思われます。

投資信託の仲介業務などをしていると、証券会社に口座を開くことさえ自由にできなくなります。つまり、自分自身のお金を使って自由に投資・運用しているような人達ではないと考えられるわけなので、おそらく投資や資産運用で、人生を左右するような大きなお金を運用する事はあまりしていないのではないかと思っています。

さらに言えば、資産運用の相談をしに行って、最終的に外貨建ての生命保険や変額保険などを提案してくるようなアドバイザーたちは、ほぼ間違いなく、自分のお金を投資して、まともに儲かった経験がない人達だと考えて間違いないと思われます。

なぜなら、投資や資産運用で儲かる方法を知っていたら、生命保険を使って資産運用をしようなんていう非効率的なことを考えるとは、正直思えません。

また、経済評論家やアナリストと呼ばれる人たちが書いた本も怪しいと思っています。

たまに、頭でっかちの知識やノウハウをもっともらしく語っているけれど、経験がないためか、気持ちが入っていない感じがすることがあります。

投資を実践して感じるのは、投資で求められる最終的なものは、気持ちなのではないかということです。

たとえどんなに知識があって、また技術があったとしても、気持ちが出来ていなければ、投資で成功することは難しいと思っています。

その点でも、本書からは筆者が実際に投資で稼いでいそうだなという感を受けました。ただ気になることもありました。それは筆者が実際に投資で稼げるようになったのは、相場が良かったここ10年以内の話のように感じたところです。

投資の話がいっぱい。

本書では、投資の話がいっぱい紹介されていました。

投資の哲学や考え方は、著名投資家のウォーレン・バフェットの話のイメージに近い印象でした。

優良企業に投資をする。良くわかっているものへ投資をする。急がず時間をかけてお金持ちになる。暴落の時こそリスクは小さい。専門家と言われる人たちの話は信用しない。

どれも、バフェット関連の本を読んでいると、どこかで聞いたことがあるような話です。おそらく著者自身、バフェットの影響を強く受けているのだろうなと感じました。

しかし、お金持ちになるという点で、お金持ちの基準を明確に示していたことは勉強になりました。

お金持ちとは、何十億ものお金を持っていることではなく、『もうお金を稼ぐ必要がなくなった人』という定義です。

お金持ちかどうかは、資産の額で決まるのではなく、働かなくても入ってくる不労所得が、生活費などの支出を上回っているかどうかで決まると言っています。

そして、何十億もの資産があることよりも、定期的な収入があることの方が、素晴らしいことだといっています。

ただもちろん、『もうお金を稼ぐ必要がなくなった人』というお金持ちになるためには、定期収入があるだけではだめで、お金の使い方も重要な項目になってきます。

お金と上手く付き合う能力には、『稼ぐ力』、『貯める力』、『守る力』、『使う力』の4つの能力が不可欠で、どれか一つが欠けてもダメ。すべての能力がバランスよく備わっていることが必要だと言っています。

どれか一つが秀でている人というのは、結構見かけることがありますが、すべてがバランスよく備わっている人というのは、なかなか見かけません。

お金持ちになるというのは、そういう事なのかと改めて気づかされます。

ただ、それぞれの能力が大きいものでなくても、それなりのバランスを身につけたら、大金持ちは無理でも、小金持ちぐらいなら、本書でも言うように、誰にでもなれるものなのかもしれません。

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