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『投資の公理 ―非合理な人間が非効率な市場に挑むときの11の教訓』 ポール・マーシャル(著)

投資と資産形成の本

非合理的な人間。

「人間の行動は、決して合理的ではない。」

これは、最近の経済学の話でもよく取り上げられている話です。

行動経済学とも呼ばれていて、様々な研究がおこなわれ、ノーベル賞を取ったものも多数存在しています。

そして、この合理的でないのは、なにも一人の人間に限ったものではなく、多くの人が集まった群衆であっても私たち人が、各個人と同じように非合理的な判断をしているということも考えられるようになってきました。

以前の経済学では、群衆となった人間は、合理的に判断および行動をしていると考えられていました。

需要と供給の関係他、価格の形成、リスクとリターンなど、以前の経済学の理論の根底には、「合理的に判断している」という前提で、ものごとを考えられていました。

ただ、自ら投資家としても活動していた経済学者ケインズに関しては、『アニマルスピリット』という言葉を使って、人の行動には『合理的』では説明できないものもあると考えていたようです。

そして、一人の人や群衆が合理的ではないという話になると、困ることになるのが、今の金融市場の通説となっている『効率的市場仮説』です。

この本のサブタイトル、「非合理な人間が非効率な市場に挑むときの11の教訓」。

つまりは、この本の内容は、人や人の群れは、合理的ではないという前提に基づいて考えている内容になります。

言い換えれば、「効率的市場仮説」に基づく投資の理論とは、また違った視点での話になります。

非効率な市場。

この本の著者は、金融市場は非効率だと考えています。著者にとっての金融市場は、「とても効率的で常に適正な価格を提示しているような場所ではない。」と考えているわけです。

市場には、ジョージソロスが再帰論と言うような、直前の価格にフィードバックを受けるような傾向や、一部の株価が他の株式の価格に影響を与えているなど、合理的という説明ではうまく説明できない様子がみられるといいます。

市場の趨勢であるトレンドに決して逆らわず、トレンドに沿った投資をするトレンドフォローという投資のスタイルがありますが、この投資スタイルは確かに機能するらしいという事も最近わかってきました。

これはつまり、市場の価格というのは、その価格の合理性を考えず、ただ直前以前の価格の影響をうけて今の価格が決まることがあるということを意味します。

このように、市場が非効率的、尚且つ私たち人も非合理的なのであれば、私たちはどうやって投資を続けたらいいのだろうか?

という問いに対し、様々な理論、そして最も重要な筆者自らの『経験』によって、私たちは何を考えるべきなのかを本書で示しています。

ここで、『経験』というのがとても大切だと本書では話しています。

本書の冒頭に出てくる。

『理屈上は理論と実践に違いはない。だが、実践では理論どおりにはいかないものだ』ーヨギ・ベラ

という言葉。

金融市場という所で長く生きていくためには、「経験によって学び、世の中の変化に合わせて、自らも進化させていく」必要がある。

そんなところがある気がしています。

そして、その代表例が、投資の神様と言われているウォーレン・バフェットなのかもしれない。

金融市場という所は、非常に複雑で、常に変化をし、不確実性に満ちた、非合理的な世界。

賢者たちの経験を学び、そのような世界でどうやって生きていったら良いのかを勉強してみるのもいいのかもしれません。

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