『チャーリー・マンガーの実践グレアム式バリュー投資』 トレン・グリフィン (著)

投資と資産形成の本

偉大な投資家、バフェットとマンガー。

ウォーレン・バフェットと言えば、投資の神様としても有名ですが、この本は、そのバフェットの相棒であったチャーリー・マンガーに焦点を当てた本です。

相棒であったと過去形になっているのは、そのチャーリー・マンガーが、昨年2023年11月に享年99歳でお亡くなりになったためです。

バフェットとマンガーは、バリュー投資の父と言われているベンジャミン・グレアムの教えを実践してきたと言われています。

この本の中でも、ベンジャミン・グレアムの株式投資の考え方がいろいろ紹介されています。

グレアムやバフェット、マンガーは、バリュー投資という考えで株式投資を行っています。バリュー投資とは、その株式の本質的価値に比べて割安になっている株式に投資をするというスタイルのことを言います。

ただバリュー投資といっても、これもまた様々で、いろんな考え方があります。

グレアムのバリュー投資は、シケモク銘柄と呼ばれる、極端に割安になっている銘柄を探して、その最後の一服を吸うようなイメージの投資法でした。

バフェットは、このグレアムの投資手法を学び、当初はグレアムと似たようなやり方で株式投資をしていましたが、バフェットのそのシケモク投資法に改良を加えさせたのが、本書の主人公でもあるマンガーだと言われています。

マンガーは、従来のバリュー投資のスタイルに、フィリップ・フィッシャーの優良株に投資し成長を待つというスタイルの投資法を加えることをしました。

グレアムの投資スタイルは、グレアムが投資をしていた世界大恐慌後の投資環境に合わせた投資スタイルであったこともあり、今の投資環境には合わないところがあるのだそうです。そのため、現代に合わせたバリュー投資のスタイルとして、「適正な価格で売られている偉大な会社は、割安な価格で売られているそこそこの会社よりも優れている」という考えに至ったという話です。

今のバフェットとマンガーの投資法は、まさにこの考え方で行っているという印象です。

ただ、それでもバフェットとマンガーにとっては、グレアムの教えの最も根幹的な部分でもある『安全域』という考え方に関しては、どんな時代であっても守られるべき投資の原理原則だと考えているということが、この本から感じることができます。

グレアムの安全域

ベンジャミン・グレアムが提唱した『安全域』とは、リスクから守ることの重要性を説いていると言えます。

現代の金融理論などで言われているリスクと言うと、資産価格の変動だと捉えがちなのですが、今のような金融理論がなかったグレアムはもちろん、今のバフェットやマンガーも、金融理論のリスクとは違う事を、リスクと考えているんだなという事が、本書からわかります。

そのリスクとは、「元本を毀損する事」だと言っています。

バフェットやマンガーは、資産としての価値と金融市場での取引価格を別物だと考えているようです。そのため、その株式の価格ではなく、株式の資産価値が減ってしまうかどうかという所を大切にしているようでした。

つまりは、株式をただの金融資産としてみているのではなく、会社として見ているという事になります。

株を買うということは、会社を買う事。この考え方がバフェットやマンガーに限らず、バリュー投資にとって大切なポイントになってきます。

そして、その会社としての価値よりも、できるだけ安く買う、それが安全域になってくるというわけです。

橋を架けるときに、車が通れるギリギリの強度で橋を造るなんてことをすることはない。その強度よりもはるかに頑丈な強度で橋を造るはず。というのが、安全域の考え方というわけです。

投資は、理論よりも理解と思想なのかもしれない。

本書に登場してくるマンガーの言葉には、私たちの心や精神的な部分に触れているものが多くなっています。

投資をしていて失敗をする原因のほとんどが、感情などの精神的なものから来ています。しかも、それらは私たちの本能でもあるため、避けようと思っていても、いざその時になったら避けられないといったことも多々あります。

だからこそ、投資と言うのは、理論以上に哲学や思想の方が大切になってくることが多いのですが、現実の今の社会をみていると、その哲学や思想以上に理論や知識を重視してしまっているかのような印象があります。

「マネーリテラシーを高めよう」といった言葉のように、お金に関する知識を身につけようという掛け声はよく見かけますが、お金の哲学と思想を学ぼうという話は、ほとんど聞いたことがありません。

知識として知っていることも大切ですが、その知識をしっかりと理解しているのかというのは、まったくの別物です。お金に関しては、理解をせずただ知っているだけでは、上手く行かないことの方が多いものです。

知っているだけでなく、理解していること、そして大きな間違いを犯さないために、自分の感情と思考をコントロールするための哲学と思想を持っていること。それが大切なのだと思います。

この本は、チャーリーマンガーのマネーマインド。お金と投資に関する思想と哲学が学べる良書だと思いました。

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