企業のファンダメンタル分析。
本書では、プロの投資家にとっての重要な視点は、「数字」「市場」「シナリオ」の3つだと言っています。
しかし、本書を読むと、その中でも特に重視しているのは、「シナリオ」という印象です。
特に、トヨタやソニー、ソフトバンクといった有名企業10社を、著者の視点から分析している部分が、本書の内容の半分以上を占めています。
数字に関しても、企業の利益をどう見るかや、財務諸表の何に注目するかといったものが中心で、やはりファンダメンタル分析の説明です。
また、企業が事業を行っている感情や市場を分析している視点も、ファンダメンタルです。
ずばりいうなら、この本の内容は、ファンダメンタル分析一色です。
ファンダメンタル分析は不確実性が多い
あくまでも個人的な見解ですが、ファンダメンタル分析というのは、不確実性がとても多くて、あまり参考にならないことの方が多いと思っています。
たとえば、ファンダメンタル分析というのは、どうしても個人的な感情や期待などが反映されやすく、正しく分析できないことが多いものです。
すでにある銘柄を保有している場合には、その銘柄の株価に、「上がってほしい」という気持ちが入り、株価が上昇するという強気のファンダメンタル分析をしてしまうことがあるものです。
自分の保有しているポジションに左右されるのが、ファンダメンタル分析だと感じています。
所詮ファンダメンタル分析というのは、「本書で解説しているような未来が来るかどうかは、やっぱりわからないよね。」というのが個人的な感想です。
しかし、それを理由に、この本で言っていることのすべてを否定的に見るのではなく、ただ情報として「知っておく」ということも必要なのかもしれません。
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