投資でもっとも大切なこと。
「投資でもっとも大切なことは、理論でもデータでもなく、哲学だ」と改めて思わされる本。
今では、現代ポートフォリオ理論やCAPMなどの金融の科学的理論を用いて運用するスタイルが多くなってきました。
多くの投資信託や最近人気のロボアドバイザーといった投資商品だけでなく、投資や資産運用のアドバイスを行っている投資アドバイザーやファイナンシャルプランナーといった人たちまで、現代ポートフォリオ理論などをもとにアドバイスを行っています。
でも、実際の投資の現場ではそれでは解決できない問題を多く抱えている。しばらくうまくいっていたことでさえ、突然通用しなくなることもあったりする。
もちろん現代ポートフォリオ理論もその一つであると思っています。
結局、投資の世界で最後に残るのは、投資について深く考える考え方、つまりは『哲学』なんだと思います。哲学のない投資は、きっとどんなに有益な方法や理論であっても、机上の空論といわれるものになってしまうことでしょう。
その投資の哲学を学ぶためには、長年投資の現場で実践してきた人、そしてその中でも実績が豊富な人から投資の考え方について学ぶのが良いと思っています。
この本の主役でもあるウォーレンバフェットは、長年の投資経験と圧倒的な実績を持ち、バフェットの考え方に触れたことで投資が上手くいくようになったという人も少なくない、投資哲学の教科書的存在です。
ウォーレンバフェットとランチをする権利を得るために、25億円超のお金が動いたという話もあります。直にバフェットと話をして、その考え方を肌で感じてみたいということなのでしょう。
投資で成功したいなら、投資の哲学を学んだ方がいい。
投資哲学を学ぶ対象として、ウォーレン・バフェット以上の人はいないのではないかと思っています。さすが投資の神様と言われるだけのことがあります。
投資の哲学を学ぶというのは、ウォーレンバフェットの投資の仕方だけを学ぼうとすることではなく、その奥の投資の考え方を学ぶことです。
そして、バフェットの考え方を学ぶなら、バフェットについて誰かが解説したような言葉では意味がなく、バフェット自身の言葉から何かを感じ取る必要があるのだと思います。
この本は、「生声」というタイトルにある通り、バフェットが実際に発した言葉がそのまま書かれている、なんの脚色もないバフェットの言葉が書かれた本です。
まさにバフェットの考え方を、バフェットの言葉から、自分自身で感じて考えるための本です。
頭でっかちに考えてバフェットの言葉に触れるのではなく、素直に、感じたままに、その言葉一つ一つに触れてみるのもいいのかもしれません。
投資で成功するためには、理論や科学的データよりも必要なものがあるということについてのバフェットの言葉。
「投資で成功するかどうかと知能指数は、IQ25以上なら関係ありません。平均並みの知能さえあれば、そのほかに必要なのは、投資をする際にトラブルの元となりがちな衝動をコントロールできる気質です。」(本書82ページより)
この言葉を読んでどう感じますか?
その感じたことを一つ一つ自分の中で考えてみることが、バフェットの投資哲学に触れるという、本書の目的なのだと思います。