資産配分こそが最大のポイント

資産運用をするなら、絶対に覚えておきたいのが、『資産配分』の考え方です。

資産配分とは、株式や債券、不動産、現金といった、資産に分けて投資をする『分散投資』のことです。

分散投資とは、「卵は一つの籠に盛るな」という投資の格言にもある通り、一つのリスクですべてがダメになってしまうような賭け方は、してはいけないというのが投資の定石です。

投資であつかうリスクの中で、最も重要なリスクは、不確実性のリスクです。誰も知らないところで突然起こるとんでもない大事件が、もっとも危険です。

この不確実性のリスクは、経済学者や偉大な投資家たちにも先読みすることが出来ない、そのままその通りの意味で「誰にもわからないリスク」であり、実際に事が起こってみないとわからないリスクです。

そのため、不確実性のリスクは決して避けることができません。

そこで、避けられないリスクによる損失を、少しでも抑えるために行っておきたいのが、『分散投資』になります。

リスクの在りかを分散させておくことで、万が一のショックが起こった場合に、損失を小さくとどめてくれる効果が期待できます。

つまり、正しい『資産配分』を行いながら運用することが、投資するにあたって、とても重要なことになってきます。

リターンを求めるなら集中が正解

分散投資には、不確実性のリスクを軽減してくれる効果が期待できますが、その反面期待リターンが下がるというデメリットがあります。

例えば、株式資産(例:全世界株インデックスファンド)と債券資産(例:国内債券インデックスファンド)の2つの資産に分散して投資をした場合と、株式資産(例:全世界株インデックスファンド)のみに投資をした場合を比較すると、後者の株式資産のみに投資をした方のが、最終的なリターンは上になります。

東証マネ部!『アセット・アロケーションを考える』 より引用)

このような結果によって、資産運用では、株式資産のインデックスファンド1本だけに投資をするのが正解だとする意見もあります。

結論から言えば、この意見は正しいのかもしれません。途中経過を抜きにして、最終的な結果としてのリターンだけを考えるなら、分散投資よりも集中投資の方が正しい。

さらに言えば、インデックスファンドのような、投資信託という資産の中で、すでに分散投資がされているのであれば、他の資産に投資をする必要はないのかもしれません。

それでも分散投資を薦める理由

「期待リターンだけを求めるのなら、分散投資よりも、株式資産だけに投資をした方のが正解。」という話は、過去の市場の推移やデータなどから考えると、おそらく正しい。

しかし、実際に投資をしていて問題となってくるのは、その株式資産だけに投資をするという投資戦略が、いつまで続けられるのかというところです。

どういうことかというと、私たち人間の判断力には、数値で示せるような合理的な判断がとても苦手という問題があるため、うまくいかなくなった時の負の感情によって、誤った判断を下してしまう可能性が非常に高いのです。

投資が順調に進んでいる時には、「株式資産一択」と思って運用していたけれど、株式市場の雲行きが怪しくなってきて、運用資産額が最高値から徐々に下落し始め、そしてさらに株式相場が大きく崩れて、急激に資産額が目減りし始めた時、ほとんどの人がどんな判断を下すのかというと。

一つが、「投資をやめて、急いで売りに走る」、他には「積立をストップする」、「株式ではない資産を買い始める」といった事をするようになります。

「合理的には、株式資産への一括投資」が、正しいという事はわかっていても、目先で値下がりしている資産をコツコツと買い続けるというのは、かなりの心理的ストレスです。

「今買わなくても、後で買えばいい。」、「下がる前に売ってしまった方が安心だ」とどうしても考えてしまうものです。

だからこそ、相場が下がっても投資が続けられるようにする。心理的ストレスを減らす工夫として、『資産配分』を考えることが大切になってきます。

つまりは、『資産配分』によって、自分のコントロールできる範囲内のリスクで運用を行う、ということが、資産運用を続けるための重要なポイントになってくるわけです。

投資や資産運用を始めるなら、「自分は人間であり、常に物事を合理的に判断できる生き物ではない」という事を、心にとどめておくことが大切です。