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『リバモア流投機術 PanRolling Library』 ジェシー・ローリストン・ リバモア(著)

投資と資産形成の本

投機家として有名なリバモア

投資家ではなく投機家、まるでギャンブラーのようにマーケットで生きてきた人、相場師。それがリバモアのイメージです。

ウォール街のグレー卜ベアとも呼ばれ世界恐慌の引き金となった株価の大暴落時に、大量の売りポジションを持ち大金を稼いだ人としても有名です。

しかし、その人生は波乱万丈。何度も破産し、そしてその度に復活してきたというとんでもない人生を送ってきた人でもあります。

今まで、リバモアの名前を聞いたことはあったけど、自分の投資にはあまり関係ないだろうと思って、リバモア関連の本を読んだことはなかったのですが、最近なんとなく気になり読んでみました。

投機家は怪しい?

投機家というと、ギャンブルのような無茶な賭け事ばかりしている人だと思われているのかもしれません。

しかし、リバモアの投機はそうではありませんでした。ギャンブルのような運用だったのかもしれませんが、あくまでも定めたルールにしたがって行動する、規律ある投資戦略を行っていたと言われています。

相場を科学し、勝てるルールを見つけ、そのルールに従い投資をした。実はこの視点は、株式市場で世界一稼いでいるヘッジファンドのメダリオンの創設者として有名な、投資家兼数学者のジェームズ・シモンズの株式市場の考え方と同じものです。

そう考えると、株式市場でお金を稼ぐって、一体何なんだろう。投資と投機で一体何が違うのだろうという疑問が湧いてくるものです。

健全な投資をするためにという話になると必ずと言って聞くことになる話は、「投資は良くて投機はだめ」という話です。

しかし、リバモアやシモンズの例を見てよくよく考えると、そもそも『投資』と『投機』をどう分けているのかという話自体が不確かなものなのではないかと思ってしまう所です。

リバモアもトレンドフォローが基本だった。

リバモアの投資戦略は、トレンドフォロー戦略が基本になっています。

このトレンドフォロー戦略は、ジェームズ・シモンズやラリー・ハイトなどの著名なヘッジファンドでもよく採用している投資戦略だと考えられています。

また、学術的にもモメンタムという市場のアノマリーがあり、このモメンタム効果が金融市場にあることは、過去のデータからも明らかになっていると言われています。そして、トレンドフォロー戦略とは、このモメンタム効果を利用したものだという事もできなくもありません。

マーケットに従え

リバモアの「マーケットが動くのを待ち、観察する。判断を下すためのしっかりとした基準を持つことが肝要なのである。」といった言葉にも、トレンドフォローとしての重要な意味が感じられます。

また、このリバモアの言葉には、トレンドフォロー以外の意味でも大切なことがあると感じました。

投資をしていると、自分の考えに固執して失敗することが多々あるものです。だからこそ、自分の意見や考えよりも、「マーケットを観察すること」がとても重要な意味を持つことがあります。

そして、自分の意見や考えにとらわれず、マーケットにしたがって行動を決める。

トレンドフォローという投資戦略は、マーケットにあるトレンドを探し、トレンドが発生したらポジションを作り、相場が反転するまで持ち続けるというのが基本のスタイルになります。

考えるよりも先に動け

本書の中に、「変動の理由が明らかになるには時間がかかり、それから行動しても利益を上げることはほとんど不可能」という言葉もありました。つまりトレンドができたときは、その理由を考える必要はないということです。

「考えるより先に動け!」です。

どうしても、思考の癖として、なにかしら理由付けがないと、行動に踏み切れなくなっていまうとことがあるものですが、トレンドフォローをするなら、それではだめということです。

相場に変化があったということが分かった時点で、その変化の理由を探すよりも先に行動することがトレンドフォローにとっては重要なのでしょう。

細かな値動きを追うな

リバモアは次のように言っています。

「小さな変動をとらえてマーケットで売買を繰り返すための方策を編み出そうとしていた。この考えは間違いであり、やがて私は現実をはっきりと認識するようになった。」

トレードをやろうとすると、小さな値動きに一喜一憂して、売買を行いがちになります。しかし、それは間違いだったという気づきです。

最近なんとなくわかってきましたが、小さな値動きを捉えようとする行為は、その値動きが小さくなればなるほど、ギャンブル色が強くなり、勝った負けたの結果が、スキルや能力より運の要素が色濃く出るようです。

トレンドフォローで本当に狙うべきトレンドとは、そんな小さなものではないということなのでしょう。

投資家の中には、投機と聞いただけで敬遠する人も少なくありません。また、投資や金融についてちょっと学んだ程度の人の中にも、「投機はやってはいけないこと」と切り捨ててしまって、投機と投資の本質を見逃してしまっている人もいると感じています。

でも、本書のようなこれらの本を読むと、投機と呼ばれるものの中にも、実は投資と言えるものがあるのかもしれないという事を感じずにはいられません。

この本を投機の本と思って侮ることなかれ、結果的には読んでよかったと思える本の一冊だと思っています。

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